石川本部長、青春を返してやれよ:足利事件2009/06/17

菅家さんに謝罪する石川本部長
 足利事件で冤罪の可能性が高まったため無期懲役刑の執行が停止され釈放された菅家利和さんが、6月17日、栃木県警を訪れ県警本部長と面会した。石川正一郎本部長は「長い間つらい思いをさせたことを心からおわび申し上げます」と深々と頭を下げた。最高検の伊藤鉄男次長検事や警察庁の吉村博人長官が相次いで謝罪や遺憾の意を表明しているが、捜査幹部が菅家さんに直接謝罪するのはこれが初めて。
 菅家さんは釈放直後の記者会見で(栃木県警の刑事や起訴した検察官らに対して)「間違ったでは済まない。絶対に許さない」語っていたが、石川本部長の謝罪を受けた後の記者会見では「本部長が謝っているのを見て考えが変わった。許す気になった」と話した。一方、「誤ったDNA鑑定を行い、無実の私を17年半苦しめた科警研の技官らは絶対に許さない。再審で間違いを明らかにしてほしい」と述べた。
 う~ん。いい人じゃん、菅家さん。17年というのは長いよ。やはり「間違っていたでは済まない」と思うな。当時の捜査官はみな懲役17年くらい入ってこいといいたい。23日にも東京高裁が再審開始を決める見込みだが、よほど真剣に捜査の過程を検証し、二度と同じことが起きないようにしてほしいものだ。
 菅家さんの奪われた17年は返ってこないが、それでも冤罪が晴れ自由になれるのならマダマシともいえる。福岡県飯塚市で92年に起きた女児2名殺害事件で、足利事件と同様の不確かなDNA鑑定で死刑が確定した久間三千年(くまみちとし)氏は、すでに死刑が執行されてしまっているのだ。物証が乏しく本人が無罪を訴えていたにもかかわらず、DNA鑑定を根拠に死刑が確定したこの「飯塚事件」もいま冤罪の可能性が高まっている。
 どうすんだよ。殺しちゃっても「間違いでした」で県警本部長が頭を下げれば許されるのか。死刑の執行を命じた法務大臣は殺人罪に当たるんじゃないか?
 無実の人間が冤罪で死刑になるなんてことが許されるなら、とても法治国家とはいえないわな。「疑わしきは罰せず」という刑事司法の根本原則がここまで空洞化していることには愕然とする。
 直ちに同様の方式のDNA鑑定のすべてをやり直せ。DNAを証拠として下された判決は、より精密な最新の方式で鑑定をやり直して確認できない限り証拠から排除して、裁判をやり直せ。少なくとも要求があったものについてはすべて無前提に鑑定をやり直す。そのぐらいが当然ではないのか?
 アメリカでは、イノセンス・プロジェクトと呼ばれるDNA再鑑定によって、すでに220人を超える人の無実が証明され冤罪から救済されているという。DNA鑑定は急速な進歩を遂げているということだから、日本もその技術を積極的にいかし真実を明らかにしていくべきだ。
 足利事件についても検察や警察はDNAの再鑑定に抵抗し、菅家氏の釈放にも後ろ向きだった。被害者感情云々というコメントもあったが、冗談じゃないよ。冤罪の解明に後ろ向きだということは、真犯人を見逃しているかもしれないということだ。これこそ被害者にとってもっとも許せないことではないのか?

法輪和尚からヒアリング 「我々式」か?対話か?2009/06/16

 朝鮮半島の平和と安定実現に向けた韓国の政策NGO「平和財団」の理事長である法輪和尚の話を聞いた。法輪和尚は、北朝鮮の難民支援NGO「Good Friends」の理事長、北朝鮮・インド・アフガンのこども支援を目的とするNGO「Join Together Society」の理事長等も努める有力者だ。
 北朝鮮の2度目の核実験によって、緊張が高まる朝鮮半島をめぐる情勢について意見交換を行なった。北朝鮮については直接の情報が限られる一方、扇情的な情報が大量に流され、冷静な議論が行ないづらい状況が続いている。立場の違いがあっても、その基盤となる正しい情報を共有し、人権などの市民益や、国益、公益を損なうことがないようにしたいとする法輪和尚の話は極めて示唆に富むものであった。
 内部的議論であったため概要のみを紹介したい。

○北朝鮮の実態は、経済・社会的にはボロボロ、一方で政治的、軍事的には相当の力を保っている。
○中国の北朝鮮への影響力は過大に評価されている。中国の影響力は実は低く、ロシアの影響力はほとんどないのが実態。最も影響力があるのはアメリカ。
○北朝鮮支配層にとって最も重要なことは体制の維持、そのために①アメリカとの関係改善と、②核開発が最重要課題。この2つは互いに矛盾することを北は理解している。
○核開発に絶対的に固執しているわけではなく、対米関係が改善すれば核開発を遅らせるだろう。
○北朝鮮政府はこの間の経緯でアメリカを信用できないと考えている。アメリカの出方次第で対応を決めている。「我々式」(自分たちのやり方)ですすむ考えだ。
○北朝鮮政府には軍事・政治・外交しか存在しない。住民政策は存在しない。北朝鮮住民は北朝鮮の政府の被害者であり、これを分けて考える必要がある。人道支援は人道支援として行なうべきだ。
○制裁には効果がない。北朝鮮はもともと貿易で成り立っている国ではなく、効果は限定的。中国の支援は実はそれほど大きくなく決定的な影響力はない。困るのは罪のない住民。
○中国やベトナムのような開放政策は安全保障が実現しない限りあり得ない。安全が保証されれば可能性があるだろう。

●結局、これからの北朝鮮の進む道は2つしかない。
1つは、「我々式」でどこまでも突き進む。
もう1つは、アメリカとの交渉によってこれを止めさせる。

 概ねそういう話であった。さすがに北朝鮮の実情についての情報も多く、悲惨な住民の状況の映像も紹介されながらの説得力のあるお話しだった。僕たちもほぼ同じ方向で考えてきたので、非常に合点のいく内容であった。
 結局、好むと好まざるとを問わず、アメリカが交渉のテーブルについて、北朝鮮の「我々式」を止めさせるしか方法はないのだ。北朝鮮と全面戦争をして現支配体制を一掃する程の決意と確実にそれをやりきる能力があるなら別かも知れないが、感情のママの中途半端なチキンレースは北朝鮮政府をどこまでも「我々式」で突き進ませることしかならないのである。それこそ「地獄への道」なのではないだろうか。
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Good Friends
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Join Together Society (JTS)
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平和財団( The Peace Foundation)
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憲法審査会規程を採決:衆議院本会議2009/06/11

6月11日の本会議

 衆院憲法審査会の運営のルール等を定める「憲法審査会規程」が6月11日の衆議院本会議で、与党などの賛成多数で可決した。野党は民主党も含め07年の国民投票法成立時(衆議院強行採決)と同じ「強引な手法」に反発して反対した。与野党が対立する構図のまま採決に至ったために、むしろ総選挙前に与野党協議が進展する可能性はなくなったともいえる。
 「日本国憲法の改正手続に関する法律」は、2007年5月14日に成立(5月18日公布)し、2010年5月18日から施行されることとなっているが、うち憲法審査会を設置する規定(憲法改正国民投票法第6章部分)については、「公布の日以後初めて召集される国会の召集の日」(167回国会召集の07年8月7日)から施行されている。この直後に安倍内閣が崩壊したこともあって、国会法上は憲法審査会が規定されながら、実際は休眠状態となっていた。
 昨年夏頃から憲法審査会を始動させろという圧力が強まり、今回、押し切られた格好だ。与党は当初、採決先送りで調整したが、改憲論者の鳩山代表が率いる民主党を総選挙前に揺さぶる狙いから採決に転じたといわれている。そもそも全体係わるルールである国会法関係の改正は全会一致が慣例であり、国会法改正の内容を含む憲法改正国民投票法を強行採決(07年4月)したこと自体が歴史的な大問題であるが、この細目に当たる「規程」まで強行採決するとは、憲法改正国民投票制度の正当性をいっそう忽せにするものだ。だいたい委員会の運営規程の類を本会議で採決すること自体が異例中の異例。
 すでに法律(国民投票法)で決まっていることを定めないことが問題との声もあるが、そもそも法律自身に問題があるのであれば、そこにまで立ち戻った議論をするのは当然。もっとも、今回の「規定」制定強行によって、「委員の選任」まですすむことは難しくなったし、与野党逆転状況の参議院では「規程」の制定も困難だろう。強引にことを押し進めた結果が、かえってその後の運営を難しくした今回の事態は皮肉と言えば皮肉ともいえる。
 なお、4月に衆議院議院運営委員会で「規程」制定の議論が起きてから、社民党としては次のような主張を行なってきた。

1、憲法改正国民投票法そのもののについて
 一昨年、憲法改正国民投票法は不正常な形で衆議院を通過し、成立いたした。同法の中には全会一致で改正することが慣例となっている国会法の改正が含まれており、国会のルールに関する法改正を数の横暴で強行採決したことは許されない。

2、与党側動議に基づく憲法審査会規程の制定について
①そもそも憲法審査会の審査を行なう状況ではない。
 憲法改正国民投票法が施行されて憲法審査会が設置されたことと、実際にここで審査を行なうこととは別のことである。「100年に一度」といわれる経済状況の中で国民の生活困窮や社会の不安が高まるなか、憲法改正に向けた審査を行なう状況ではない。 ②多くの課題が積み残しとなっている
 憲法改正国民投票法成立の際には参議院で18項目に及ぶ附帯決議が採択され、同法施行にあたって多くの条件が課されている。これらの課題のほとんどは未解決で、例えば投票者の年齢というごく基本的な問題一つをとっても法制審議会における議論すら決着がついていない。

3、総務省は08年度予算に7千200万円、09年度予算に46億9400万円の準備経費を計上し、すでに500万部ものパンフレットを作成・配布するなど既成事実を着々と積み重ねている。今日のような経済・社会状況の中では、憲法改正に向けた準備をすすめるより、国民生活に直結する多くの課題に取り組むべきである。

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辻元清美議員の反対討論(09.6.11/衆本)

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、衆議院憲法審査会規程の制定に反対の立場で討論をいたします。(拍手)
 本日、この本会議で採決を強行することは、立法府として、二年前と同じ過ちを繰り返すことであり、これは前回以上に愚かな行為であると、まず申し上げなければなりません。
 皆さん、もうお忘れでしょうか。二年前、国民投票法案の与党案が、この本会議場が騒然となる中で強行採決されたときのことをもう一度思い出していただきたいと思います。
 当時、与党推薦の参考人で改憲推進の立場の方からも、力任せに進めればこの国が割れてしまうと非難の声が上がる中での採決でした。新聞でも、廃案にして出直せ、時期も運びもむちゃくちゃだと批判されました。
 当時の総理大臣は安倍晋三さんで、私の内閣で憲法改正をなし遂げるという発言を繰り返していました。それに対して、憲法は国会案件であるのに行政府の総理大臣が音頭をとるのは三権分立の意味を理解しているのだろうかという懸念の声が与党側からも出る中での強行採決ではなかったですか。
 この過程は、憲法改正に賛成、反対の立場にかかわりなく、憲政史上恥ずべき行為であったということを皆さんに思い返していただきたいと思います。このような政府・与党の強引なやり方に対して、国民は参議院選挙でノーを突きつけたのではないですか。
 憲法という最高法規を論ずるに当たって最も大切なことは、主権者たる国民の民意と議会のコンセンサスです。これが、立憲主義の国の国際的な常識です。憲法は、今の与党の私物ではありません。
 衆参両院での調整もなく、さらに、衆議院の任期が残り三カ月という時期に、憲法審査会規程の制定を強行する必要性はどこにあるのでしょうか。まさか、政権交代の前に既成事実をつくってしまえという意図ではないと信じたいところですが、そのような浅はかな行為ととられても仕方がないと申し上げなければならないのは、情けない限りです。皆さん、いかがでしょうか。
 何をそんなに急いでいるのでしょうか。先ほど自民党の登壇者から、憲法を論ずるに当たって大切なのは与党の度量と野党の良識だという発言が紹介されました。与党だけで本日採決する、それに突っ走ろうとすることが、与党の度量なんでしょうか。与党の焦りではないですか、皆さん。堂々とやりましょうよ。
 最後に、立法府の良識を取り戻そうと呼びかけて、私の反対討論を終わります。(拍手)

日米核密約:外務官僚が管理2009/06/01

ライシャワー
今日の朝刊に「核密約」に関する記事が掲載された。共同通信配信の大スクープだ。
1960年の日米安保条約改定に際して、核兵器を積んだ米軍の艦船・航空機の日本立ち寄りを黙認することを合意した核持ち込みに関する「密約」を歴代の外務官僚が管理し引き継いできたことと、外務省側の判断で特定の首相・外相だけにこのことを伝えていたことが分かった、というものだ。今日は専らこの事実確認や資料整理。
正直いうと、核密約問題は2000年頃から共産党が熱心に取り組んでいたので、「共産党ネタ」という意識がどこかにあって、あまり熱心には取り組んでこなかった面があるんだけど、実際はこれ大事な問題だね。日本の政治の在り方の本質を象徴的に示している。
そもそも米国の核艦船の通過・寄港が日本の安全にとって不可欠だとか、日米関係を維持する上でどうしても必要なことであったなら、国民に向けてそう説明し説得をすべきだった。
それが出来ないがどうしても必要な約束なので秘密にしなきゃならないというなら、少なくともウソをつくべきではない。「いわゆる密約の存在についてはお答えできない」とでも言うべきでしょう。
ひょっとしたら池田勇人首相が「外務省から信頼」されておらずそもそも密約の存在を知らなかったのかもしれないが、それで結果的にウソになってしまったのなら、それが分かった後は訂正して謝罪すべきじゃないか。
米側の責任者をはじめ多くの関係者が認め、米側の情報公開で現物が明らかになり、今回は歴代4事務次官が認めた。これでもなおかつシラを切れると思っているのだろうか。すでに米国は91年以降、地上発射戦術核兵器、巡航ミサイルを含む水上艦艇と攻撃型原潜の戦術核兵器を海外から撤去しており(欧州配備航空機搭載戦術核除く)、少なくとも平時には核搭載艦船の通過・寄港問題は存在しない。核密約の存在を認めること自体が具体的な米軍の活動の障害とはならないのであり、日米間の深刻な問題をもたらすとは考えられない。あるのは、過ちを認めたくはないという保身、政府と官僚制度の無謬性護持の生理反応だけではないか。
交渉担当の元外務省アメリカ局長の吉野文六氏が認めてもなお事実を認めようとしない沖縄返還協定をめぐる密約・西山事件、大量破壊兵器の存在を理由にイラク戦争を支持しながらこれがでっち上げだったことが分かった後も開き直り続けるイラク派兵問題も、まったく同根だ。誰が見ても明らかなウソを認めようとせず、シラを切ってやり過ごそうという態度こそが自らを貶めていることになぜ気付かないのだろうか。不思議だ。
共同通信記者の取材に応じた次官の1人は、「(国会で)事実と違う答弁を続け)なんだか恥ずかしいなという思いがあった」と話している。この時期に4人の元事務次官が真実を語り出したのは、偽りのままで人生を終えたくないとの思いがあるのではないだろうか。
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討論記録の該当部分(いわゆる「核密約」)
1959年6月(日米の代表が署名し公式の取決めとなったのは60年1月6日の藤山・マッカーサー会談)
A「装備における重要な変更」は、核兵器及び中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション)並びにそれらの兵器のための基地の建設を意味するものと解釈されるが、たとえば、核物質部分をつけていない短距離ミサイルと含む非核兵器(ノン・ニュクリア・ウェポンズ)の持ち込みは、それに当たらない。
B「条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く戦闘作戦行動」は、日本国以外の地域にたいして日本国から起こされる戦闘作戦行動を意味するものと解される。
C「事前協議」は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続に影響を与えるものとは解されない。合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更の場合を除く。
D交換公文のいかなる内容も、合衆国軍隊の部隊とその装備の日本からの移動(トランスファー)に関し、「事前協議」を必要とするとは解釈されない。
※米国「国立公文書館」の「米陸軍参謀部資料」のなかの「琉球列島米国民政府の歴史」と題された文書群に収められていた公文書「日本と琉球諸島における合衆国の基地権の比較」に記載されていた。「密約」は66年9~12月に米国務省と国防総省国際安全保障担当が共同して作成し、66年末の米政府省庁間高官会議に提出した報告書「沖縄基地研究」の一部を成すもの。
※共産党・不破哲三委員長(当時)の国会質問資料より
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いわゆる「密約」問題の概略は以下
●日米安保条約下で在日米軍が日本に核兵器を持ち込んでいるのではないかという疑惑は当初から持たれていた。日米安保条約第6条に関する交換公文で「装備の重要な変更」の際は「事前協議」を行なうとしているため、「事前協議がない以上、寄港も含めて核の持ち込みはない」との理屈で日本政府は現在に至るまでこれを否定している。
●一方で米側は、核の「持ち込み」は陸上配備のみに該当し、核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」にはあたらないとの解釈を採用し、当時の岸信介政権はこの米側の解釈を黙認していたと疑われている。核艦船等の通過・寄港を事前協議の対象としないことを合意した「秘密議事録」が安保改定時にかわされたという疑いがささやかれてきた。この秘密議事録が「密約」とされるものだ。(←「密約」など許されない)
●岸内閣に変わった池田勇人内閣は核搭載艦船の寄稿も「持ち込み」にあたり条約で定めた「事前協議」の対象となると国会で答弁した。(←ウソの始まり)
※志賀健次郎防衛庁長官答弁「わが方は、日本の港に寄港する場合においては、核兵器は絶対に持ち込んでは相ならぬ、かように固い約束をいたしておる」。「われわれは信頼の上に立って、もしも核装備を、核弾頭なり核を装着したものを艦艇なりあるいは飛行機に持ってくるというような場合には、必ず事前協議に付せらるべきものであると信じておるし、またアメリカとかたい約束をしておるのであります」(63年3月2日、衆・予算)
※池田勇人首相答弁「私は、核弾頭を持った船は、日本に寄港はしてもらわないということを常に言っております」「核兵器を日本に持ち込むとかなんとかいうようなことは、全然話題にも何にもなっておりません」(63年3月6日、参・予算)
●こうした経緯を米政府は重視し、当時のライシャワー駐日大使は同年4月4日、大平正芳外相(当時、後に首相)と会談し「密約」の解釈の角煮を要求。この際に大平氏は初めて密約の存在を知り了承したという。こうした経緯や解釈が日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局で管理されてきた。文書を見たという次官経験者は、「次官引継ぎ時に『核に関しては日米間で(非公開の)了解がある』と前任者から聞いて、次の次官に引き継いでいた」と述べた。別の次官経験者は橋本、小渕両氏ら外務省が信用した政治家だけに密約内容を知らせていたと語った。さらに別の経験者は「(密約内容を話していい首相、外相かどうか)役人が選別していた」と述べた。(←今回明らかになった)
●74年9月10日、ジーン・R・ラロック米退役海軍少将は米議会で証言し「核兵器を積載する能力のあるすべての船は、核兵器を積んでいる。それらの船が日本などの港に入る時も、核兵器を外すことはない」と述べた。
●81年5月17日、「密約」の存在を裏付ける「ライシャワー発言」が明るみに出て話題になった。駐日米大使だったライシャワー氏が帰国後、毎日新聞のインタビューに応じたもので、「核積載の米艦船・航空機の日本領海・領空の通過・寄港は『核持ち込みに当たらない』との日米口頭了解が60年安保改定当時に存在、核積載米艦船は日本に寄港している」との爆弾証言である。
●これに対して日本政府は「米国からの事前協議要請がないから、『核持ち込み』はない」と強弁し続けてきた。(←苦しい)
●2000年3~4月の国会で、共産党不破委員長(当時)が、アメリカ政府が情報公開法によって公開した外交文書に基づいて「核密約」の真相を得追及した。この文書によって60年1月6日に藤山外相とマッカーサー米大使の間で結ばれた核密約の全文が明らかになった。小渕内閣及び森内閣は、これを否定する答弁を繰り返した。その内容は①過去の歴代政府が核密約の存在を否定してきた、②米政府文書とされるものの性格が不明で、日本政府は関知しないものだ、③安保条約は日米間の信頼関係によって成り立っている、④日本政府自身が持っている外交文書を調べるつもりはない、というゴマカシで逃げ切った。(←ヒドイ!)
●今回の共同通信報道を受けて、河村建夫官房長官は6月1日の記者会見で、「(同条約で定めた)核持ち込みの事前協議がない以上、核持ち込みはなかったということに全く疑いを持っていない」と述べ、密約を改めて否定した。同日、藪中三十二外務事務次官も会見で「密約はないと歴代首相、外相が説明している。それに尽きる」と否定した。

裁判員裁判とハンディキャップ2009/05/26

裁判員裁判の法廷
裁判員法が施行され、間もなく裁判員裁判がはじまる。
たまたま問い合わせを受けたので、ハンディのある裁判員を迎える態勢について調べてみた。結論から言えば、まだぜんぜん出来ていないのが実際のところだ。車イス利用のような分かりやすいものは多少は考えているようだが、例えば聴覚障害のように裁判の流れを把握すること自体に障害がある場合はいったいどう運営するのか。裁判所までの移動や宿舎はどうなるか。介助者の扱いはどうか。
そもそも裁判員候補者名簿記載通知は、専用コールセンターに電話で問い合せるようになっているが、ファックスやメールの問い合わせ先も作るべきではないか。通知に点字の案内を同封するといった配慮は必要ないのか。
聴覚障害者について最高裁に聞いてみたら、要するに住所は書いてあるんだから手紙を書けばいいのではないかと。まあ、そりゃそうだがちょっとずれてるんじゃないか。来年度以降は検討課題とするというのだけど、たいした手間がかかるわけはないんだから、ファックス番号やメルアドくらいすぐに作ったらいいじゃないか。
さらに僕は詳細は分からないんだけど、裁判所には「はやとくん」とかいう電子速記の機械があって速記をリアルタイムに利用できるらしい。聴覚障害者の方々は裁判員をするときはこれを使わせてくれとか要望しているそうなんだけど、なかなか裁判所が渋ってるらしい。あるなら使わせればいいじゃないか。裁判所側は手話を中心に考えているようだが、聴覚障害者の中で手話を使う者は2割程度とのことだから、やはりリアルタイムの文字化が必要でしょう。
そもそも裁判員制度の制度設計自体が詰め切れていない部分が多く、走りながらのスタートの面はあるだろうし、いろいろ問題もあるだろうけど、裁判員を国民の義務とするのであれば、障害者への情報保障を後回しにしてよいわけはない。とりあえず出来ることは全部しろといいたい。出来ないことは、なるべく早く出来るようにしろと。
検察審査会審査員では以前は目耳の欠格条項があったが、2000年に廃止された。00~06年の聴覚障害者の審査員は合計9名(8000人中)とのことだが、聴覚障害者の率から考えて異常に少ない。どこかの段階で恣意的な選択が行われている可能性があるんじゃないか。
裁判員における聴覚障害者も候補者にはなった後の選任過程で裁判官が面倒がったりあるいは「善意」で辞退をすすめることがないかは疑問が残る。裁判員制度の是非はともかく、ハンディキャップの有無が司法参加の道を狭めることになってはならないし、その成り行きをチェックしていく必要があるだろう。

消極的安全保証問題主意書に対して答弁書2009/05/22

辻元主意書への答弁
辻元清美議員が提出していた、「消極的安全保証問題に関する質問主意書」に対する政府の答弁書が出た。
消極的安全保証というのは、核兵器国が核兵器を持たない国に対して核攻撃をかけないことを保証すること。世界の核軍縮をすすめる上で非常に意味があることと考えられている。核兵器国が核を持たない国を本当に攻撃しないのであれば核を持たない国が核を持とうとする意味を大きく減ずることが出来るからだ。
核兵器国とりわけ米国がこの立場をとろいうとする場合に日本の態度が大きな意味を持ってくる。日本政府が米国の「核の傘」に入ること、米国の拡大抑止に依存することを安全保障の要と考えているからだ。
つまり核兵器を持たない国に対して核兵器を使わないという立場を米国が明確にすると、日本が核兵器を持たない国から攻撃をされたときに米国は日本のために核兵器を使わないということを明確にするということになる。これは日本を攻撃しようとする国にとって有利であり、日本にとって抑止力が弱まることを意味するというわけだ。つまり米国はいつでもどんなときでも日本のために核兵器を使うという態度でいてください、ということ。
「抑止力」の発想からすれば当然ともいえる日本政府のこの立場が、実は米国の核軍縮の障害になっているとも言われている。日本が米国に守られていないと思えば、日本が米国から離れ、場合によっては独自の核武装をはかろうとするかも知れない。これは認められないから、アメリカ自身も核軍縮ができないという理屈だ。
オバマ政権が核廃絶を語り出すなかで、日本が米国の消極的安全保証に反対しないことを明確にすることは非常に重要だ。そのような立場が主意書の提出の背景にある。
これに対してこの答弁はなんだ。ヒドイ。何も答えていないのと一緒じゃないか。許せない。
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平成21年5月13日提出
質問第394号
消極的安全保証問題に関する質問主意書
                                提出者  辻元清美

 核兵器を持たない国には核攻撃をかけないことを核兵器国が保証する「消極的安全保証(NSA)」に関し、樽井澄夫軍縮代表部大使は、今年五月七日、二〇一〇年NPT再検討会議第三回準備委員会において、日本は一九七〇年にNPT(核拡散防止条約)に署名した際に、核兵器国は非核兵器国に対し核兵器の使用及び使用の威嚇をすべきでないと述べたと説明し、その立場に変更はなく、日本は「消極的安全保証」の考えを基本的に支持すると述べている。
 また、米国は一九九五年四月五日、以下のように宣言している。
「米国は、以下の場合を除き、核兵器の不拡散に関する条約の締約国である非核兵器国に対して、核兵器を使用しないことを再確認する。すなわち、米国、その準州、その軍隊、もしくは、その他の兵員、その同盟国、又は、米国が安全保障上の約束を行っている国に対する侵略その他の攻撃が、核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き、それらの非核兵器国に対して核兵器を使用しないことを再確認する。」
 これら消極的安全保証に係わる我が国の認識は、世界の核軍縮を進めるに当たって、極めて重大な意味を持つものである。ついては、日本の「消極的安全保証(NSA)に対する基本的な支持」の意味について質問する。

 一、日本政府による「NSAに対する基本的な支持」というのは、いかなる状況においても、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持するという意味か示されたい。それは、生物・化学兵器あるいは大量の通常兵器による攻撃があった場合についても、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持することを意味するのか示されたい。

二、日本政府による「NSAに対する基本的な支持」とは、「核兵器国の領土(準州を含む)、その軍隊、もしくは、その他の兵員、その同盟国、又は、同核兵器国が安全保障上の約束を行っている国に対する侵略その他の攻撃が、他の核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き」というような条件付きで、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持するという意味か示されたい。それは、生物・化学兵器あるいは大量の通常兵器による攻撃があった場合についても、それが「他の核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き」、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持するという意味か示されたい。

三、日本政府が支持できないNSAとは、どのようなものか示されたい。

右質問する。
―――――――――――――――――――――――――――――
内閣衆質171第394号
平成21年5月22日
                             内閣総理大臣 麻生太郎
衆議院議長 河野洋平殿

衆議院議員辻元清美君提出
消極的安全保証問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

議院議員辻元清美君提出消極的安全保証問題に関する質問に対する答弁書

1から3までについて
政府としては、消極的安全保証について、非核兵器国に対して核を使用しないという考え方は基本的に支持し得るものと考えているが、これを供与するのは核兵器国であり、この供与の在り方等について現時点では核兵器国間での見解の一致がみられていないと承知しており、お尋ねについてお答えすることは困難である。

裁判員制度はじまる2009/05/21

裁判員議連
今日から裁判員法が施行される。もともと2004年5月に全会一致で成立した裁判員法だが、5年を経て施行が近づくにつれ、反対の声が大きくなり予定通りにスタート出来るか危ぶまれていたところだ。
全会一致案件なのでみんな反対しづらいのだけど、議員連盟(裁判員制度を問い直す議員連盟:亀井久興世話人)を作って、とりあえず施行の延期をしたらどうかとか、修正をしようとかいう議論をしてきたわけだ。議連にもあっと言う間に与党からも含めて60名もの参加者が集まり、反対論の根強さがわかる。
保守系議員の「そもそも市民に裁判が出来るわけはない、専門家に任しておくのがよいのだ」的反対論と、「市民の司法参加は総論賛成だが、条件が未整備で厳罰化や冤罪が心配」的反対論まで呉越同舟なのだが、とりあえずいったん止めて考え直そうという方向性で一致して取り組んできた。この手の超党派の取り組みとしては結構いいところまで行ったが、結局、「凍結・延期法案」提出には至らなかった。今後も法の修正や国会での徹底審議を目指す方針だ。
私個人は、裁判員制度には条件付賛成の立場。
行政主導の官僚司法を打ち破るためには市民の司法参加が欠かせないが、それを実施する上では様々な前提があるはず。前提が整わないまま拙速に実施することは制度を定着させる上でもマイナスだ。ということだ。現状は完全に前提が整ったとは言えないのは明らかだが、施行を凍結することまで必要かどうかは実は悩んでいた。
まあ、結局スタートしてしまったわけだから、前向きにとるものをとっていくべきではないか。例えば取り調べの可視化とか、証拠開示や公判前整理手続の運用のルール化、保釈の原則化、広範日程の確保等々。もちろん問題点の修正を目指すとかは当然すべきだけど、結局、危惧した不安だけ的中して、期待した前進はなにも得られないということだけは避けたいところだ。

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2009年5月21日/裁判員制度を問い直す議員連盟総会

                 裁判員制度施行にあたっての声明

 私たちは、本日始まった「裁判員制度」に強い懸念と憂慮を持っています。4月1日、超党派で裁判員制度を問い直す議員連盟を結成し、院内勉強会を重ねてきました。連休前の4月28日には、この制度に宿る問題点を整理して「裁判員制度凍結・見直しにむけた12の論点」を確認し、「裁判員制度凍結・延期法案」の作成を進めました。そして、提出者4名、賛同者31名を得て、先週の5月15日に衆議院における議員立法として国会提出の直前まで至りました。残念ながら、制度施行前の提出は出来ませんでしたが、7月にも始まろうとしている裁判員裁判を前に「一時停止」も含めた徹底的な議論と行動が必要です。本日までに、本議員連盟に加入する衆参両院の国会議員は、60名となりました。私たちは、立法府の責務として、裁判員制度に対して、国民の多数が不安や疑問を覚えている状態に積極的に応えようと思います。
 裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)は、5年前に衆議院で全会一致、参議院で2人(椎名素夫・山本正和議員)の反対を除いて、賛成多数で成立しました。(平成16年・2004年5月21日) しかし、私たちは国会で当時、十分な審議を行ってきたのかを自省と自戒をこめてふり返る必要があります。重大事件を対象とする刑事裁判の根幹を変更する法案だったにもかかわらず、衆参法務委員会での審議時間は、衆議院で31時間、参議院で21時間でしかありません。議事録も薄いもので、議論は全般に及んでいるものの、充実した審議があったとは言えません。
 ただし、5年前の裁判員法は制度の骨格を決めたにすぎません。実施にむけた詳細な制度設計は、法曹三者に委ねられました。また、最高裁判所を中心として巨費を投じた「宣伝啓蒙活動」が続けられ、さすがにこの制度を知らないという国民は少なくなりました。私たちは、報道機関の世論調査の結果から、国民の中に「制度を知れば知るほど嫌になる」という傾向が存在することを認めざるをえません。
  最高法規としての憲法の下に裁判員法が存在しているのであり、その逆ではありません。「私は人を裁きたくない」「思想・信条から宗教上の理由から辞退したい」という理由を認めない制度は違憲であるという各界からの指摘は当然です。刑事司法に市民が参加する裁判員制度は「権利」として語られながら、いつの間にか「義務」と称しています。国民の三大義務がいつから四大義務になったのでしょうか。裁判所から裁判員候補に指名された国民に届く文書は「呼出状」という呼称です。刑事司法の場に強制的に呼びだされて、数日間で「死刑か、無期懲役か」の判断をし、その評議の秘密は墓場まで持っていけと刑事罰で脅されるという制度に、国民世論は冷えきっています。
 私たちは超党派の議員連盟として、国会議員の責任を果たし、国権の最高機関としての立法府の権能をとり戻すために立ち上がります。国民の声に率直に耳を傾ける姿勢こそ、政治の場に問われています。裁判員法は附則に「3年後の見直し規定」を置いていますが、とても3年待とうという状況ではありません。法や制度の不備があれば、躊躇なくこれをただしていくのが国会の役割です。
 私たちは、本日をもって更に議員連盟を拡大し、活動を強めます。同時に、緊急の立法措置も講じます。裁判員制度に対しての立場や評価がさまざまであっても、多くの報道機関や人々が指摘する「国民に対しての罰則が厳しすぎる」という点については、裁判員法改正案を作成しました。この法案は、議員連盟の枠を超えて与野党各党に積極的検討を求めていきます。
 もちろん、部分改正は本質的な解決ではありません。抜本的な見直しを3年後ではなく、この国会で実現すべく最大限の努力を続けます。

B規約第一選択議定書を批准させよう!2009/05/20

ジュネーブ国連欧州本部B規約人権委員会対日審査
国際人権規約(自由権)第一選択議定書批准をマニフェストに掲載するよう、日弁連から要請を受けた。こちらはトップと担当役員に受けてもらった。

国際人権規約とは、世界人権宣言の内容を基礎として条約化したもので、人権諸条約の中で最も基本的なもの。世界人権宣言採択後18年間にわたって議論が重ねられ、66年12月の国連総会で採択(76年発効)された。日本も79年に批准している。
正式には「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)と、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)といい、社会権規約は「国際人権A規約」、自由権規約は「国際人権B規約」と呼ばれる。
A規約は、労働の権利、社会保障についての権利、教育についての権利などの社会権を保障するもの。B規約は、身体の自由と安全、移動の自由、思想・良心の自由、差別の禁止、法の下の平等などの自由権を保障するものだ。
B規約には「市民的政治的諸権利に関する選択議定書」(第一選択議定書、第二選択議定書)」が付属している。第1選択議定書はB規約で保障された権利を侵害され国内の手続で救済がなされなかった場合に、その個人が国連自由権規約委員会に通報できる制度を定めたもの。第2選択議定書は死刑の廃止を定めたものである。
B規約は09年2月現在で164カ国が批准し、B規約第一選択議定書は111カ国が批准している。日本は79年にB規約を国会承認する際に、衆参両院で「選択議定書批准を早期に検討すること」とする附帯決議が付されているにもかかわらず、いまだ批准していないのである。人権擁護は否定しづらいものの、日本政府にとっては国内の人権侵害を国内で解決できず、国際社会で批判されることになる第一選択議定書への批准は、本音は乗り気じゃない。のらりくらりとずーとごまかしているのだ。
しかしOECD30カ国の中で、日本以外の29カ国が第一選択議定書を批准するか、他の個人通報制度を有している現状のなかで、国際的な風当たりも強くなってる。08年には国連人権規約委員会から批准を検討するよう勧告もされている。
このようななか日弁連は07年6月に、第一選択議定書批准を目指す特別委員会を立ち上げて取り組みをすすめており、今回はその一環としての要請だ。政権交代もあり得る状況の中で、野党も含めて認識を深めさせるための働きかけは大変ありがたい。

僕らも批准すべきとは言ってきたし、選挙政策にも書き込んではあるものの、全体としては決して十分な認識あるとはいえない。とくにこういう課題は直接の利害関係者が少ないので、なかなか各論の域を出ないんだな。政策の作り方も各担当者にふって、それを集約するという通常の手法の中ではなかなかプライオリティをつけるのが難しい。メリハリをつけろという議論もよく出るんだけど、それぞれの関係者にとってはそれぞれの課題が一番重要なわけで、比較しずらいよね。だれも「あんたの分野は重要でないから後回し」とは言えないもんね。それで結局総花的な主張になるか、多くの人の日々の暮らしに係わる課題を先に出すという結果になっちゃう。
まあ、うちらはトップも担当役員も弁護士だからことの重要性は分かってるはず。あとは彼らの調整力次第かな。

シビリアンコントロール2006/09/17

報道によると、防衛庁が米情報機関との連携を強化するため、ワシントンに日本大使館から独立した情報専門の連絡事務所を新設する方針を固めたそうだ。軍事情報の専門家同士による緊密なパイプをつくり、日米間の情報共有による同盟強化を狙うとのこと。年明けからの本格化が目標とのこと。相手先はDIA(国防総省国防情報局)、NAS(国家安全保障局)、NGA(国家地空間情報局)などらしい。

うーん。どうしてこういうことを平気で出来るんだろうかね。日米同盟化かなんか知らんけど、軍人どうして勝手に連携して兄弟杯を固めようって、そういうことが許されるのかね。どう見ても、シビリアン・コントロール原則を外れるでしょう。この間、政府間に先立って軍人間で話をしている形跡がどんどん強くなっている。自衛隊のニーズを政府が知る前に米政府が知っている。本来、自衛隊→防衛庁→内閣→国会ってやるべきことが、実質的に自衛隊→米軍→米政府→政府って決まっている。もちろん現場同士の話もあるでしょう。だから大使館にも出向しているわけだし、日常的に交流してるじゃない。でもベースは通常の外交関係の枠内でやれよって。政府は本当にそれでいいのか。各省庁がワシントンに連絡事務所を置いて、それぞれ米省庁と連携してやればいいのか。

千鳥ケ淵戦没者墓苑に眠る35万人2006/09/07

今日は党の「千鳥ケ淵戦没者墓苑・平和祈念施設」提言委員会。Y新聞のW主筆にお越しいただいて、氏の「靖国問題解決私案」をご説明いただき、意見交換を行なった。
 Y氏案は千鳥ケ淵戦没者墓苑を拡張・整備して公的性格を与えようというものだ。隣接する公務員三番町宿舎(財務省)、宮内庁長官公邸・侍従長公邸(内閣府)、農水省分庁舎、農水省三番町共用会議所、公務員九段住宅(財務省)、農水省三番町住宅等の国有地を活用し、場合によっては国家公務員共済組合九段坂病院やインド大使館等の敷地を買収する可能性や、近くのイタリヤ文化会館の真っ赤な壁を塗り替えてもらえないかといった物理的な面から、制度的な面までを含む、極めて総合的で具体的なアイデアであった。憲法問題等、多くの課題に関して立場が異なるが、戦争に対する姿勢、戦争責任問題に対する考え方については共有できることも多かった。
 千鳥ケ淵戦没者墓苑には現に引き取り手のない戦死者35万人分の遺骨が保管されている無名戦士の墓だ。靖国神社にあるのは主に厚生省からもらったただの名簿(霊璽簿)である。どちらが、慰霊に適しているかは明らかではないだろうか。