日米核密約:外務官僚が管理2009/06/01

ライシャワー
今日の朝刊に「核密約」に関する記事が掲載された。共同通信配信の大スクープだ。
1960年の日米安保条約改定に際して、核兵器を積んだ米軍の艦船・航空機の日本立ち寄りを黙認することを合意した核持ち込みに関する「密約」を歴代の外務官僚が管理し引き継いできたことと、外務省側の判断で特定の首相・外相だけにこのことを伝えていたことが分かった、というものだ。今日は専らこの事実確認や資料整理。
正直いうと、核密約問題は2000年頃から共産党が熱心に取り組んでいたので、「共産党ネタ」という意識がどこかにあって、あまり熱心には取り組んでこなかった面があるんだけど、実際はこれ大事な問題だね。日本の政治の在り方の本質を象徴的に示している。
そもそも米国の核艦船の通過・寄港が日本の安全にとって不可欠だとか、日米関係を維持する上でどうしても必要なことであったなら、国民に向けてそう説明し説得をすべきだった。
それが出来ないがどうしても必要な約束なので秘密にしなきゃならないというなら、少なくともウソをつくべきではない。「いわゆる密約の存在についてはお答えできない」とでも言うべきでしょう。
ひょっとしたら池田勇人首相が「外務省から信頼」されておらずそもそも密約の存在を知らなかったのかもしれないが、それで結果的にウソになってしまったのなら、それが分かった後は訂正して謝罪すべきじゃないか。
米側の責任者をはじめ多くの関係者が認め、米側の情報公開で現物が明らかになり、今回は歴代4事務次官が認めた。これでもなおかつシラを切れると思っているのだろうか。すでに米国は91年以降、地上発射戦術核兵器、巡航ミサイルを含む水上艦艇と攻撃型原潜の戦術核兵器を海外から撤去しており(欧州配備航空機搭載戦術核除く)、少なくとも平時には核搭載艦船の通過・寄港問題は存在しない。核密約の存在を認めること自体が具体的な米軍の活動の障害とはならないのであり、日米間の深刻な問題をもたらすとは考えられない。あるのは、過ちを認めたくはないという保身、政府と官僚制度の無謬性護持の生理反応だけではないか。
交渉担当の元外務省アメリカ局長の吉野文六氏が認めてもなお事実を認めようとしない沖縄返還協定をめぐる密約・西山事件、大量破壊兵器の存在を理由にイラク戦争を支持しながらこれがでっち上げだったことが分かった後も開き直り続けるイラク派兵問題も、まったく同根だ。誰が見ても明らかなウソを認めようとせず、シラを切ってやり過ごそうという態度こそが自らを貶めていることになぜ気付かないのだろうか。不思議だ。
共同通信記者の取材に応じた次官の1人は、「(国会で)事実と違う答弁を続け)なんだか恥ずかしいなという思いがあった」と話している。この時期に4人の元事務次官が真実を語り出したのは、偽りのままで人生を終えたくないとの思いがあるのではないだろうか。
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討論記録の該当部分(いわゆる「核密約」)
1959年6月(日米の代表が署名し公式の取決めとなったのは60年1月6日の藤山・マッカーサー会談)
A「装備における重要な変更」は、核兵器及び中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション)並びにそれらの兵器のための基地の建設を意味するものと解釈されるが、たとえば、核物質部分をつけていない短距離ミサイルと含む非核兵器(ノン・ニュクリア・ウェポンズ)の持ち込みは、それに当たらない。
B「条約第5条の規定にもとづいておこなわれるものを除く戦闘作戦行動」は、日本国以外の地域にたいして日本国から起こされる戦闘作戦行動を意味するものと解される。
C「事前協議」は、合衆国軍隊とその装備の日本への配置、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関する現行の手続に影響を与えるものとは解されない。合衆国軍隊の日本への配置における重要な変更の場合を除く。
D交換公文のいかなる内容も、合衆国軍隊の部隊とその装備の日本からの移動(トランスファー)に関し、「事前協議」を必要とするとは解釈されない。
※米国「国立公文書館」の「米陸軍参謀部資料」のなかの「琉球列島米国民政府の歴史」と題された文書群に収められていた公文書「日本と琉球諸島における合衆国の基地権の比較」に記載されていた。「密約」は66年9~12月に米国務省と国防総省国際安全保障担当が共同して作成し、66年末の米政府省庁間高官会議に提出した報告書「沖縄基地研究」の一部を成すもの。
※共産党・不破哲三委員長(当時)の国会質問資料より
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いわゆる「密約」問題の概略は以下
●日米安保条約下で在日米軍が日本に核兵器を持ち込んでいるのではないかという疑惑は当初から持たれていた。日米安保条約第6条に関する交換公文で「装備の重要な変更」の際は「事前協議」を行なうとしているため、「事前協議がない以上、寄港も含めて核の持ち込みはない」との理屈で日本政府は現在に至るまでこれを否定している。
●一方で米側は、核の「持ち込み」は陸上配備のみに該当し、核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」にはあたらないとの解釈を採用し、当時の岸信介政権はこの米側の解釈を黙認していたと疑われている。核艦船等の通過・寄港を事前協議の対象としないことを合意した「秘密議事録」が安保改定時にかわされたという疑いがささやかれてきた。この秘密議事録が「密約」とされるものだ。(←「密約」など許されない)
●岸内閣に変わった池田勇人内閣は核搭載艦船の寄稿も「持ち込み」にあたり条約で定めた「事前協議」の対象となると国会で答弁した。(←ウソの始まり)
※志賀健次郎防衛庁長官答弁「わが方は、日本の港に寄港する場合においては、核兵器は絶対に持ち込んでは相ならぬ、かように固い約束をいたしておる」。「われわれは信頼の上に立って、もしも核装備を、核弾頭なり核を装着したものを艦艇なりあるいは飛行機に持ってくるというような場合には、必ず事前協議に付せらるべきものであると信じておるし、またアメリカとかたい約束をしておるのであります」(63年3月2日、衆・予算)
※池田勇人首相答弁「私は、核弾頭を持った船は、日本に寄港はしてもらわないということを常に言っております」「核兵器を日本に持ち込むとかなんとかいうようなことは、全然話題にも何にもなっておりません」(63年3月6日、参・予算)
●こうした経緯を米政府は重視し、当時のライシャワー駐日大使は同年4月4日、大平正芳外相(当時、後に首相)と会談し「密約」の解釈の角煮を要求。この際に大平氏は初めて密約の存在を知り了承したという。こうした経緯や解釈が日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局で管理されてきた。文書を見たという次官経験者は、「次官引継ぎ時に『核に関しては日米間で(非公開の)了解がある』と前任者から聞いて、次の次官に引き継いでいた」と述べた。別の次官経験者は橋本、小渕両氏ら外務省が信用した政治家だけに密約内容を知らせていたと語った。さらに別の経験者は「(密約内容を話していい首相、外相かどうか)役人が選別していた」と述べた。(←今回明らかになった)
●74年9月10日、ジーン・R・ラロック米退役海軍少将は米議会で証言し「核兵器を積載する能力のあるすべての船は、核兵器を積んでいる。それらの船が日本などの港に入る時も、核兵器を外すことはない」と述べた。
●81年5月17日、「密約」の存在を裏付ける「ライシャワー発言」が明るみに出て話題になった。駐日米大使だったライシャワー氏が帰国後、毎日新聞のインタビューに応じたもので、「核積載の米艦船・航空機の日本領海・領空の通過・寄港は『核持ち込みに当たらない』との日米口頭了解が60年安保改定当時に存在、核積載米艦船は日本に寄港している」との爆弾証言である。
●これに対して日本政府は「米国からの事前協議要請がないから、『核持ち込み』はない」と強弁し続けてきた。(←苦しい)
●2000年3~4月の国会で、共産党不破委員長(当時)が、アメリカ政府が情報公開法によって公開した外交文書に基づいて「核密約」の真相を得追及した。この文書によって60年1月6日に藤山外相とマッカーサー米大使の間で結ばれた核密約の全文が明らかになった。小渕内閣及び森内閣は、これを否定する答弁を繰り返した。その内容は①過去の歴代政府が核密約の存在を否定してきた、②米政府文書とされるものの性格が不明で、日本政府は関知しないものだ、③安保条約は日米間の信頼関係によって成り立っている、④日本政府自身が持っている外交文書を調べるつもりはない、というゴマカシで逃げ切った。(←ヒドイ!)
●今回の共同通信報道を受けて、河村建夫官房長官は6月1日の記者会見で、「(同条約で定めた)核持ち込みの事前協議がない以上、核持ち込みはなかったということに全く疑いを持っていない」と述べ、密約を改めて否定した。同日、藪中三十二外務事務次官も会見で「密約はないと歴代首相、外相が説明している。それに尽きる」と否定した。

憲法審査会規程を採決:衆議院本会議2009/06/11

6月11日の本会議

 衆院憲法審査会の運営のルール等を定める「憲法審査会規程」が6月11日の衆議院本会議で、与党などの賛成多数で可決した。野党は民主党も含め07年の国民投票法成立時(衆議院強行採決)と同じ「強引な手法」に反発して反対した。与野党が対立する構図のまま採決に至ったために、むしろ総選挙前に与野党協議が進展する可能性はなくなったともいえる。
 「日本国憲法の改正手続に関する法律」は、2007年5月14日に成立(5月18日公布)し、2010年5月18日から施行されることとなっているが、うち憲法審査会を設置する規定(憲法改正国民投票法第6章部分)については、「公布の日以後初めて召集される国会の召集の日」(167回国会召集の07年8月7日)から施行されている。この直後に安倍内閣が崩壊したこともあって、国会法上は憲法審査会が規定されながら、実際は休眠状態となっていた。
 昨年夏頃から憲法審査会を始動させろという圧力が強まり、今回、押し切られた格好だ。与党は当初、採決先送りで調整したが、改憲論者の鳩山代表が率いる民主党を総選挙前に揺さぶる狙いから採決に転じたといわれている。そもそも全体係わるルールである国会法関係の改正は全会一致が慣例であり、国会法改正の内容を含む憲法改正国民投票法を強行採決(07年4月)したこと自体が歴史的な大問題であるが、この細目に当たる「規程」まで強行採決するとは、憲法改正国民投票制度の正当性をいっそう忽せにするものだ。だいたい委員会の運営規程の類を本会議で採決すること自体が異例中の異例。
 すでに法律(国民投票法)で決まっていることを定めないことが問題との声もあるが、そもそも法律自身に問題があるのであれば、そこにまで立ち戻った議論をするのは当然。もっとも、今回の「規定」制定強行によって、「委員の選任」まですすむことは難しくなったし、与野党逆転状況の参議院では「規程」の制定も困難だろう。強引にことを押し進めた結果が、かえってその後の運営を難しくした今回の事態は皮肉と言えば皮肉ともいえる。
 なお、4月に衆議院議院運営委員会で「規程」制定の議論が起きてから、社民党としては次のような主張を行なってきた。

1、憲法改正国民投票法そのもののについて
 一昨年、憲法改正国民投票法は不正常な形で衆議院を通過し、成立いたした。同法の中には全会一致で改正することが慣例となっている国会法の改正が含まれており、国会のルールに関する法改正を数の横暴で強行採決したことは許されない。

2、与党側動議に基づく憲法審査会規程の制定について
①そもそも憲法審査会の審査を行なう状況ではない。
 憲法改正国民投票法が施行されて憲法審査会が設置されたことと、実際にここで審査を行なうこととは別のことである。「100年に一度」といわれる経済状況の中で国民の生活困窮や社会の不安が高まるなか、憲法改正に向けた審査を行なう状況ではない。 ②多くの課題が積み残しとなっている
 憲法改正国民投票法成立の際には参議院で18項目に及ぶ附帯決議が採択され、同法施行にあたって多くの条件が課されている。これらの課題のほとんどは未解決で、例えば投票者の年齢というごく基本的な問題一つをとっても法制審議会における議論すら決着がついていない。

3、総務省は08年度予算に7千200万円、09年度予算に46億9400万円の準備経費を計上し、すでに500万部ものパンフレットを作成・配布するなど既成事実を着々と積み重ねている。今日のような経済・社会状況の中では、憲法改正に向けた準備をすすめるより、国民生活に直結する多くの課題に取り組むべきである。

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辻元清美議員の反対討論(09.6.11/衆本)

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、衆議院憲法審査会規程の制定に反対の立場で討論をいたします。(拍手)
 本日、この本会議で採決を強行することは、立法府として、二年前と同じ過ちを繰り返すことであり、これは前回以上に愚かな行為であると、まず申し上げなければなりません。
 皆さん、もうお忘れでしょうか。二年前、国民投票法案の与党案が、この本会議場が騒然となる中で強行採決されたときのことをもう一度思い出していただきたいと思います。
 当時、与党推薦の参考人で改憲推進の立場の方からも、力任せに進めればこの国が割れてしまうと非難の声が上がる中での採決でした。新聞でも、廃案にして出直せ、時期も運びもむちゃくちゃだと批判されました。
 当時の総理大臣は安倍晋三さんで、私の内閣で憲法改正をなし遂げるという発言を繰り返していました。それに対して、憲法は国会案件であるのに行政府の総理大臣が音頭をとるのは三権分立の意味を理解しているのだろうかという懸念の声が与党側からも出る中での強行採決ではなかったですか。
 この過程は、憲法改正に賛成、反対の立場にかかわりなく、憲政史上恥ずべき行為であったということを皆さんに思い返していただきたいと思います。このような政府・与党の強引なやり方に対して、国民は参議院選挙でノーを突きつけたのではないですか。
 憲法という最高法規を論ずるに当たって最も大切なことは、主権者たる国民の民意と議会のコンセンサスです。これが、立憲主義の国の国際的な常識です。憲法は、今の与党の私物ではありません。
 衆参両院での調整もなく、さらに、衆議院の任期が残り三カ月という時期に、憲法審査会規程の制定を強行する必要性はどこにあるのでしょうか。まさか、政権交代の前に既成事実をつくってしまえという意図ではないと信じたいところですが、そのような浅はかな行為ととられても仕方がないと申し上げなければならないのは、情けない限りです。皆さん、いかがでしょうか。
 何をそんなに急いでいるのでしょうか。先ほど自民党の登壇者から、憲法を論ずるに当たって大切なのは与党の度量と野党の良識だという発言が紹介されました。与党だけで本日採決する、それに突っ走ろうとすることが、与党の度量なんでしょうか。与党の焦りではないですか、皆さん。堂々とやりましょうよ。
 最後に、立法府の良識を取り戻そうと呼びかけて、私の反対討論を終わります。(拍手)

法輪和尚からヒアリング 「我々式」か?対話か?2009/06/16

 朝鮮半島の平和と安定実現に向けた韓国の政策NGO「平和財団」の理事長である法輪和尚の話を聞いた。法輪和尚は、北朝鮮の難民支援NGO「Good Friends」の理事長、北朝鮮・インド・アフガンのこども支援を目的とするNGO「Join Together Society」の理事長等も努める有力者だ。
 北朝鮮の2度目の核実験によって、緊張が高まる朝鮮半島をめぐる情勢について意見交換を行なった。北朝鮮については直接の情報が限られる一方、扇情的な情報が大量に流され、冷静な議論が行ないづらい状況が続いている。立場の違いがあっても、その基盤となる正しい情報を共有し、人権などの市民益や、国益、公益を損なうことがないようにしたいとする法輪和尚の話は極めて示唆に富むものであった。
 内部的議論であったため概要のみを紹介したい。

○北朝鮮の実態は、経済・社会的にはボロボロ、一方で政治的、軍事的には相当の力を保っている。
○中国の北朝鮮への影響力は過大に評価されている。中国の影響力は実は低く、ロシアの影響力はほとんどないのが実態。最も影響力があるのはアメリカ。
○北朝鮮支配層にとって最も重要なことは体制の維持、そのために①アメリカとの関係改善と、②核開発が最重要課題。この2つは互いに矛盾することを北は理解している。
○核開発に絶対的に固執しているわけではなく、対米関係が改善すれば核開発を遅らせるだろう。
○北朝鮮政府はこの間の経緯でアメリカを信用できないと考えている。アメリカの出方次第で対応を決めている。「我々式」(自分たちのやり方)ですすむ考えだ。
○北朝鮮政府には軍事・政治・外交しか存在しない。住民政策は存在しない。北朝鮮住民は北朝鮮の政府の被害者であり、これを分けて考える必要がある。人道支援は人道支援として行なうべきだ。
○制裁には効果がない。北朝鮮はもともと貿易で成り立っている国ではなく、効果は限定的。中国の支援は実はそれほど大きくなく決定的な影響力はない。困るのは罪のない住民。
○中国やベトナムのような開放政策は安全保障が実現しない限りあり得ない。安全が保証されれば可能性があるだろう。

●結局、これからの北朝鮮の進む道は2つしかない。
1つは、「我々式」でどこまでも突き進む。
もう1つは、アメリカとの交渉によってこれを止めさせる。

 概ねそういう話であった。さすがに北朝鮮の実情についての情報も多く、悲惨な住民の状況の映像も紹介されながらの説得力のあるお話しだった。僕たちもほぼ同じ方向で考えてきたので、非常に合点のいく内容であった。
 結局、好むと好まざるとを問わず、アメリカが交渉のテーブルについて、北朝鮮の「我々式」を止めさせるしか方法はないのだ。北朝鮮と全面戦争をして現支配体制を一掃する程の決意と確実にそれをやりきる能力があるなら別かも知れないが、感情のママの中途半端なチキンレースは北朝鮮政府をどこまでも「我々式」で突き進ませることしかならないのである。それこそ「地獄への道」なのではないだろうか。
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Good Friends
http://www.goodfriends.or.kr/

Join Together Society (JTS)
http://www.jts.or.kr/

平和財団( The Peace Foundation)
http://www.peacefoundation.or.kr/

石川本部長、青春を返してやれよ:足利事件2009/06/17

菅家さんに謝罪する石川本部長
 足利事件で冤罪の可能性が高まったため無期懲役刑の執行が停止され釈放された菅家利和さんが、6月17日、栃木県警を訪れ県警本部長と面会した。石川正一郎本部長は「長い間つらい思いをさせたことを心からおわび申し上げます」と深々と頭を下げた。最高検の伊藤鉄男次長検事や警察庁の吉村博人長官が相次いで謝罪や遺憾の意を表明しているが、捜査幹部が菅家さんに直接謝罪するのはこれが初めて。
 菅家さんは釈放直後の記者会見で(栃木県警の刑事や起訴した検察官らに対して)「間違ったでは済まない。絶対に許さない」語っていたが、石川本部長の謝罪を受けた後の記者会見では「本部長が謝っているのを見て考えが変わった。許す気になった」と話した。一方、「誤ったDNA鑑定を行い、無実の私を17年半苦しめた科警研の技官らは絶対に許さない。再審で間違いを明らかにしてほしい」と述べた。
 う~ん。いい人じゃん、菅家さん。17年というのは長いよ。やはり「間違っていたでは済まない」と思うな。当時の捜査官はみな懲役17年くらい入ってこいといいたい。23日にも東京高裁が再審開始を決める見込みだが、よほど真剣に捜査の過程を検証し、二度と同じことが起きないようにしてほしいものだ。
 菅家さんの奪われた17年は返ってこないが、それでも冤罪が晴れ自由になれるのならマダマシともいえる。福岡県飯塚市で92年に起きた女児2名殺害事件で、足利事件と同様の不確かなDNA鑑定で死刑が確定した久間三千年(くまみちとし)氏は、すでに死刑が執行されてしまっているのだ。物証が乏しく本人が無罪を訴えていたにもかかわらず、DNA鑑定を根拠に死刑が確定したこの「飯塚事件」もいま冤罪の可能性が高まっている。
 どうすんだよ。殺しちゃっても「間違いでした」で県警本部長が頭を下げれば許されるのか。死刑の執行を命じた法務大臣は殺人罪に当たるんじゃないか?
 無実の人間が冤罪で死刑になるなんてことが許されるなら、とても法治国家とはいえないわな。「疑わしきは罰せず」という刑事司法の根本原則がここまで空洞化していることには愕然とする。
 直ちに同様の方式のDNA鑑定のすべてをやり直せ。DNAを証拠として下された判決は、より精密な最新の方式で鑑定をやり直して確認できない限り証拠から排除して、裁判をやり直せ。少なくとも要求があったものについてはすべて無前提に鑑定をやり直す。そのぐらいが当然ではないのか?
 アメリカでは、イノセンス・プロジェクトと呼ばれるDNA再鑑定によって、すでに220人を超える人の無実が証明され冤罪から救済されているという。DNA鑑定は急速な進歩を遂げているということだから、日本もその技術を積極的にいかし真実を明らかにしていくべきだ。
 足利事件についても検察や警察はDNAの再鑑定に抵抗し、菅家氏の釈放にも後ろ向きだった。被害者感情云々というコメントもあったが、冗談じゃないよ。冤罪の解明に後ろ向きだということは、真犯人を見逃しているかもしれないということだ。これこそ被害者にとってもっとも許せないことではないのか?

あてにならないDNA鑑定:飯塚事件2009/06/18

飯塚事件DNA鑑定
 部会で「飯塚事件」の再審請求代理人である岩田務弁護士から話を聞いた。
 いやあ、DNA鑑定ってどういうものかぜんぜん知らなかったんだけど、大変なものですね。なんとなく科学的で確実なもののような印象でいたのだけど、全然違う。塩基対の配列をデジタルに対照してるのだとばかり思っていたのだけど、初期のDNA鑑定は電気泳動にかけて一定の塩基配列の繰り返し数の違いを長さから判断しているだけ。ぜんぜんアナログな方法だ。マーカー(比較用の物差)の使い方もいい加減で、全然信用にならんぞ、こりゃ。
 イメージでは、パソコンで塩基対の型を照合しているような認識をしていたのだけど、実際はレントゲンのようなあいまいな画像をみながら、うーんこれかな、って感じで決まっていたわけです。鑑定人の能力による差も出そう。実際、飯塚事件の鑑定を科警研と別に実施した石山昱夫帝京大名誉教授は当時の科警研鑑定はズサンで、技術も未熟、「こんな鑑定は私の教室では通用しない」と法廷で発言している。うーん、まったくあてにならんぞDNA鑑定。
 飯塚事件では、足利事件以上に不出来だっと言われる「MCT118型鑑定」だけではなく、「HLADQα型鑑定」、「ミトコンドリア法鑑定」、「PM法鑑定」といくつもの方法で鑑定されているが、HLADQα型鑑定は鑑定が破綻して証拠として不採用、ミトコンドリア法では容疑者の久間さんと同じ型のDNAは出ずに別の型が検出され、PM法はプロトコル(実施要綱)違反で誤りの可能性が高いとさんざんな結果だ。
 ポリグラフ検査、面通しテスト、目撃証言の信頼性に関する鑑定結果等、消極的な証拠も多く、本人が一貫して否認しているなか、決定的な証拠とされたMCT118型DNA鑑定の信頼性が否定された以上、飯塚事件の死刑判決が誤りだったことは明らかだ。
 要するに警察ははじめから、久間さんを犯人として絞り込むといういわゆる「見込み捜査」を行なったのだろう。久間さんを真犯人と思い込み、消極的な材料からは目を背け、有罪に追い込むための証拠集めを行なった。MCT118型鑑定でクロという結果を押し出して、科学的な装いで有罪判決を勝ち取ったわけだ。
 真犯人を見つけるためではなく、犯人と思い込んだ相手を締め上げて「自白」させる、飯塚事件の久間さんは「自白」しなかったので「科学的」なDNA鑑定を押し出して裁判官をだまして有罪判決をとる。DNA鑑定の結果が揺らぎ、再審の議論がはじまったらさっさと死刑にしてしまう。ひでーよ。
 警察・検察は最後まで久間さんを真犯人だと決めつけていたようだが、これだけ証拠能力がゆらいでいるのだから、きちんとした再検証を行なうべきじゃないか。鑑定資料も警察が全部使い切っていて再鑑定が出来ないというのだから、そんなのを根拠に死刑ではかなわない。
 すくなくとも90年代初頭までのDNA検査は実験段階で実用に耐えるものではなかった。警察・法務当局はそれを承知、もしくは知らぬふりをして「科学的」な証拠として活用してきたわけだ。多分ほかにも、同様の「証拠能力のない証拠」によって有罪とされた容疑者が大勢いるのではないか。
 死刑が確定したあとに再審によって無罪となった冤罪事件だけでも、免田事件、財田川事件、島田事件、松山事件の4件がある。最近でも服役後に真犯人が見つかる氷見事件のような例が発生している。冤罪の可能性がある以上、やはり死刑制度を見直す必要があるな。遺族感情ということがいわれるが、真犯人を見逃して、無実の人が処刑されることが遺族感情に叶うとはとても思えない。

生麻生さんのツラを見たよ2009/06/26

生麻生見たことある人?
 自転車で帰宅する途中、家の近くに人だかりが出来て、ザワザワしていた。おまわりさんもあちこちにいて、パトカーの赤色灯もチラチラ見える。そうそう、都議選の自民党候補の応援に麻生首相が来るという日だった。
 野次馬根性を出して、しばらく待ってみることに。しばらくすると黒塗りの車がスーッとやって来て、麻生首相登場。さすがに総理大臣だね。みんな一目麻生さんを見ようと、ワッサワッサだったよ。
 「今日初めて、生で麻生太郎のツラ見た人?」とか、新聞に書いてあったのと同じことを言ってた。そんなに何度もやるほどのネタとも思えなかったけど、案外にうけてたよ。

インプラント3本2009/06/27

 昨日、この数週間の最大の悩み事だった、インプラントの手術が終わりました。
 麻酔のおかげで痛くはないんだけど、ドリルの振動を感じるとやはりビビる。頭蓋骨にドリルで穴を開けるなんて恐ろしいことです。
 ドリルで穴を開けながら、歯医者が「きっびしいな~」とかつぶやくのを聞いて、さらにビビる。「ふぇんふぇい、はにがきびひーんでふかぁ~」
 まあ、なんとか無事に終わり一安心。もともとわかっていたのだけど、上の顎の骨が薄くてうまくいくかぎりぎりらしいのだけど。あとはうまく定着するのを祈るのみ。
 インプラント3本+かぶせもの銀2本・セラミック1本、ソケットリフトで約68万円。相場よりはかなり安い方らしいんだけど、それでも高け~よ。クレジットカード決済したけど、引き落とし日までに金策をせねば。

久しぶりのツリーハウス2009/06/28

ツリーハウス下で焼きそば作り
 久しぶりに「楽園」に行った。うちの3人と、子供の友だち2人+お母さん1人の都合6人で。最初は、アスレチックで遊んだり、焼きそば作って食べたり、たき火をしたりと機嫌良く遊んでいたのだけど、2時頃から雨が降り出して暗~い雰囲気に。
 温泉に行って、夕食を食べて、帰ろうとしたら大渋滞だったので、道志道から帰ることにした。6時過ぎに出て結局10時過ぎまでかかってしまった。小仏の渋滞、何とかならないものか。
 作業的には特になし。ツリーハウスそばに作ってある、ブランコの起点を数十センチ上げて振り幅をさらに大きくした。雨で使えなかったけど長さ6メートル近いブランコだから子どもは喜ぶはずだ。

玄関のロックで閉め出した2009/06/30

チェーンロック
 僕は基本的に性善説というか、ケセラセラ気分というか、防犯意識が低いというか、家にいるときはほとんどカギなんかかけないんだけど、うちの娘はお母さんが突然、帰ってくるとビックリするからとかいって、いつもカギかけてチェーンロックをしている。
 母親の帰りが遅いときは、僕がチェーンロックを外しておくんだけど、昨日はこれを忘れて寝てしまった! 娘を寝かしつけてまた起きるつもりだったのに、そのまま寝てしまったのね。要するに奥さんを閉め出してしまったわけ。
 3時くらいに目覚めてみると、「ロックがかかっていて入れませ~ん。あけてくださ~い」とか留守録が入っている。うーん。スマン。電話してみたが、出ないし。近所のファミレスなんかものぞいてみたがいない。まあ、しょうがない。
 しかし、朝になっても連絡とれないし。娘が謝罪の電話をしても、留守電。結局、夕方まで連絡とれなかったよ。怒ってるぞ。たぶん。
 夕方、帰ってみると、寝室に閉じこもってカギかけて寝てる。やっぱし怒ってるな。まあ、翌朝になったら、なんとか怒りもおさまっていたけど。スマンスマン。娘は「二度とチェーンロックをしません」と約束させれていた。