消極的安全保証問題主意書に対して答弁書2009/05/22

辻元主意書への答弁
辻元清美議員が提出していた、「消極的安全保証問題に関する質問主意書」に対する政府の答弁書が出た。
消極的安全保証というのは、核兵器国が核兵器を持たない国に対して核攻撃をかけないことを保証すること。世界の核軍縮をすすめる上で非常に意味があることと考えられている。核兵器国が核を持たない国を本当に攻撃しないのであれば核を持たない国が核を持とうとする意味を大きく減ずることが出来るからだ。
核兵器国とりわけ米国がこの立場をとろいうとする場合に日本の態度が大きな意味を持ってくる。日本政府が米国の「核の傘」に入ること、米国の拡大抑止に依存することを安全保障の要と考えているからだ。
つまり核兵器を持たない国に対して核兵器を使わないという立場を米国が明確にすると、日本が核兵器を持たない国から攻撃をされたときに米国は日本のために核兵器を使わないということを明確にするということになる。これは日本を攻撃しようとする国にとって有利であり、日本にとって抑止力が弱まることを意味するというわけだ。つまり米国はいつでもどんなときでも日本のために核兵器を使うという態度でいてください、ということ。
「抑止力」の発想からすれば当然ともいえる日本政府のこの立場が、実は米国の核軍縮の障害になっているとも言われている。日本が米国に守られていないと思えば、日本が米国から離れ、場合によっては独自の核武装をはかろうとするかも知れない。これは認められないから、アメリカ自身も核軍縮ができないという理屈だ。
オバマ政権が核廃絶を語り出すなかで、日本が米国の消極的安全保証に反対しないことを明確にすることは非常に重要だ。そのような立場が主意書の提出の背景にある。
これに対してこの答弁はなんだ。ヒドイ。何も答えていないのと一緒じゃないか。許せない。
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平成21年5月13日提出
質問第394号
消極的安全保証問題に関する質問主意書
                                提出者  辻元清美

 核兵器を持たない国には核攻撃をかけないことを核兵器国が保証する「消極的安全保証(NSA)」に関し、樽井澄夫軍縮代表部大使は、今年五月七日、二〇一〇年NPT再検討会議第三回準備委員会において、日本は一九七〇年にNPT(核拡散防止条約)に署名した際に、核兵器国は非核兵器国に対し核兵器の使用及び使用の威嚇をすべきでないと述べたと説明し、その立場に変更はなく、日本は「消極的安全保証」の考えを基本的に支持すると述べている。
 また、米国は一九九五年四月五日、以下のように宣言している。
「米国は、以下の場合を除き、核兵器の不拡散に関する条約の締約国である非核兵器国に対して、核兵器を使用しないことを再確認する。すなわち、米国、その準州、その軍隊、もしくは、その他の兵員、その同盟国、又は、米国が安全保障上の約束を行っている国に対する侵略その他の攻撃が、核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き、それらの非核兵器国に対して核兵器を使用しないことを再確認する。」
 これら消極的安全保証に係わる我が国の認識は、世界の核軍縮を進めるに当たって、極めて重大な意味を持つものである。ついては、日本の「消極的安全保証(NSA)に対する基本的な支持」の意味について質問する。

 一、日本政府による「NSAに対する基本的な支持」というのは、いかなる状況においても、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持するという意味か示されたい。それは、生物・化学兵器あるいは大量の通常兵器による攻撃があった場合についても、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持することを意味するのか示されたい。

二、日本政府による「NSAに対する基本的な支持」とは、「核兵器国の領土(準州を含む)、その軍隊、もしくは、その他の兵員、その同盟国、又は、同核兵器国が安全保障上の約束を行っている国に対する侵略その他の攻撃が、他の核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き」というような条件付きで、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持するという意味か示されたい。それは、生物・化学兵器あるいは大量の通常兵器による攻撃があった場合についても、それが「他の核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き」、非核兵器国に対する核兵器使用の禁止を日本が支持するという意味か示されたい。

三、日本政府が支持できないNSAとは、どのようなものか示されたい。

右質問する。
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内閣衆質171第394号
平成21年5月22日
                             内閣総理大臣 麻生太郎
衆議院議長 河野洋平殿

衆議院議員辻元清美君提出
消極的安全保証問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

議院議員辻元清美君提出消極的安全保証問題に関する質問に対する答弁書

1から3までについて
政府としては、消極的安全保証について、非核兵器国に対して核を使用しないという考え方は基本的に支持し得るものと考えているが、これを供与するのは核兵器国であり、この供与の在り方等について現時点では核兵器国間での見解の一致がみられていないと承知しており、お尋ねについてお答えすることは困難である。

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