憲法審査会規程を採決:衆議院本会議2009/06/11

6月11日の本会議

 衆院憲法審査会の運営のルール等を定める「憲法審査会規程」が6月11日の衆議院本会議で、与党などの賛成多数で可決した。野党は民主党も含め07年の国民投票法成立時(衆議院強行採決)と同じ「強引な手法」に反発して反対した。与野党が対立する構図のまま採決に至ったために、むしろ総選挙前に与野党協議が進展する可能性はなくなったともいえる。
 「日本国憲法の改正手続に関する法律」は、2007年5月14日に成立(5月18日公布)し、2010年5月18日から施行されることとなっているが、うち憲法審査会を設置する規定(憲法改正国民投票法第6章部分)については、「公布の日以後初めて召集される国会の召集の日」(167回国会召集の07年8月7日)から施行されている。この直後に安倍内閣が崩壊したこともあって、国会法上は憲法審査会が規定されながら、実際は休眠状態となっていた。
 昨年夏頃から憲法審査会を始動させろという圧力が強まり、今回、押し切られた格好だ。与党は当初、採決先送りで調整したが、改憲論者の鳩山代表が率いる民主党を総選挙前に揺さぶる狙いから採決に転じたといわれている。そもそも全体係わるルールである国会法関係の改正は全会一致が慣例であり、国会法改正の内容を含む憲法改正国民投票法を強行採決(07年4月)したこと自体が歴史的な大問題であるが、この細目に当たる「規程」まで強行採決するとは、憲法改正国民投票制度の正当性をいっそう忽せにするものだ。だいたい委員会の運営規程の類を本会議で採決すること自体が異例中の異例。
 すでに法律(国民投票法)で決まっていることを定めないことが問題との声もあるが、そもそも法律自身に問題があるのであれば、そこにまで立ち戻った議論をするのは当然。もっとも、今回の「規定」制定強行によって、「委員の選任」まですすむことは難しくなったし、与野党逆転状況の参議院では「規程」の制定も困難だろう。強引にことを押し進めた結果が、かえってその後の運営を難しくした今回の事態は皮肉と言えば皮肉ともいえる。
 なお、4月に衆議院議院運営委員会で「規程」制定の議論が起きてから、社民党としては次のような主張を行なってきた。

1、憲法改正国民投票法そのもののについて
 一昨年、憲法改正国民投票法は不正常な形で衆議院を通過し、成立いたした。同法の中には全会一致で改正することが慣例となっている国会法の改正が含まれており、国会のルールに関する法改正を数の横暴で強行採決したことは許されない。

2、与党側動議に基づく憲法審査会規程の制定について
①そもそも憲法審査会の審査を行なう状況ではない。
 憲法改正国民投票法が施行されて憲法審査会が設置されたことと、実際にここで審査を行なうこととは別のことである。「100年に一度」といわれる経済状況の中で国民の生活困窮や社会の不安が高まるなか、憲法改正に向けた審査を行なう状況ではない。 ②多くの課題が積み残しとなっている
 憲法改正国民投票法成立の際には参議院で18項目に及ぶ附帯決議が採択され、同法施行にあたって多くの条件が課されている。これらの課題のほとんどは未解決で、例えば投票者の年齢というごく基本的な問題一つをとっても法制審議会における議論すら決着がついていない。

3、総務省は08年度予算に7千200万円、09年度予算に46億9400万円の準備経費を計上し、すでに500万部ものパンフレットを作成・配布するなど既成事実を着々と積み重ねている。今日のような経済・社会状況の中では、憲法改正に向けた準備をすすめるより、国民生活に直結する多くの課題に取り組むべきである。

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辻元清美議員の反対討論(09.6.11/衆本)

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、衆議院憲法審査会規程の制定に反対の立場で討論をいたします。(拍手)
 本日、この本会議で採決を強行することは、立法府として、二年前と同じ過ちを繰り返すことであり、これは前回以上に愚かな行為であると、まず申し上げなければなりません。
 皆さん、もうお忘れでしょうか。二年前、国民投票法案の与党案が、この本会議場が騒然となる中で強行採決されたときのことをもう一度思い出していただきたいと思います。
 当時、与党推薦の参考人で改憲推進の立場の方からも、力任せに進めればこの国が割れてしまうと非難の声が上がる中での採決でした。新聞でも、廃案にして出直せ、時期も運びもむちゃくちゃだと批判されました。
 当時の総理大臣は安倍晋三さんで、私の内閣で憲法改正をなし遂げるという発言を繰り返していました。それに対して、憲法は国会案件であるのに行政府の総理大臣が音頭をとるのは三権分立の意味を理解しているのだろうかという懸念の声が与党側からも出る中での強行採決ではなかったですか。
 この過程は、憲法改正に賛成、反対の立場にかかわりなく、憲政史上恥ずべき行為であったということを皆さんに思い返していただきたいと思います。このような政府・与党の強引なやり方に対して、国民は参議院選挙でノーを突きつけたのではないですか。
 憲法という最高法規を論ずるに当たって最も大切なことは、主権者たる国民の民意と議会のコンセンサスです。これが、立憲主義の国の国際的な常識です。憲法は、今の与党の私物ではありません。
 衆参両院での調整もなく、さらに、衆議院の任期が残り三カ月という時期に、憲法審査会規程の制定を強行する必要性はどこにあるのでしょうか。まさか、政権交代の前に既成事実をつくってしまえという意図ではないと信じたいところですが、そのような浅はかな行為ととられても仕方がないと申し上げなければならないのは、情けない限りです。皆さん、いかがでしょうか。
 何をそんなに急いでいるのでしょうか。先ほど自民党の登壇者から、憲法を論ずるに当たって大切なのは与党の度量と野党の良識だという発言が紹介されました。与党だけで本日採決する、それに突っ走ろうとすることが、与党の度量なんでしょうか。与党の焦りではないですか、皆さん。堂々とやりましょうよ。
 最後に、立法府の良識を取り戻そうと呼びかけて、私の反対討論を終わります。(拍手)

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