政府・与党の一元化について2009/09/24

政府与党の一元化について
 議員立法の全面禁止とも報道された民主党の文書「政府・与党一元化における政策の決定について」の内容は下のようなもの。確かに政策機能をすべて政府に一元化し、「法律案の提出は内閣の責任で政府提案として行う」と書かれている。さらに、「優れて政治的な問題」については、「党で論議し、役員会において決定する」、それに係わる法律案の提出は、党の責任で議員提案として行う」とも。「議員立法原則禁止」と読めないこともない。
 でも、これだけではなんともいえないな。そもそも一般行政に関する法律案を政府提案とすべきであることは当然だ。内閣法制局を通らないような法案を安直に依頼立法するようなことは、本来、認めるべきではない。
 また、「優れて政治的な問題」については、これまでも議員立法と処理されてきたし、実質的には党で論議し各党の決定を基にして立法されてきた。政治倫理関係など立法のことだ。これもこれだけなら別に問題はない。
 問題はこれ以外の議員個人の自発的な立法活動を認めないのかどうかだ。一応、ここでは「党の決定を受けていない議員立法は一切禁止」とまでは明記されていない。漏れ伝わるところでは、小沢さんは党の決定と無関係に勝手に議員立法なんてダメと言っているようで、あわせて考えると「議員立法原則禁止」ということになるんだろうけど、報道自身にややフライング気味かもしれない。
 まだまだ、「一元化」の中身や、具体的な意思形成方法、国会運営の中身等々どうなるのかほとんど決まっていないのが現実。本当に議員立法禁止なんてことにもなりかねないのも事実だから、そうならないように声を大きくしていくことは必要かもしれない。そしてなにより質の高い議員立法をすすめていくことが一番ではないかな。
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2009年9月18日
民主党・会派所属国会議員各位
  関係 各位

  政府・与党一元化における政策の決定について

幹事長 小沢一郎

 日々の党務ご精励に敬意を表し、感謝申し上げます。
 鳩山政権発足にあたり、政府・与党一元化における政策の決定について、別紙の通りとすることといたしましたのでご報告申し上げます。
 議員各位におかれましては、必ずお目通しをいただきますようお願いいたします。

(別紙)

政府・与党一元化における政策の決定について


1、民主党「次の内閣」を中心とする政策調査会の機能は、全て政府(=内閣)に移行する。
①一般行政に関する議論と決定は、政府で行う。従って、それに係る法律案の提出は内閣の責任で政府提案として行う。
①選挙・国会等、議員の政治活動に係る、優れて政治的な問題については、党で議論し、役員会において決定する。その決定にあたっては、必要に応じて常任幹事会あるいは議員総会で広く意見交換を行う。従って、それに係る法律案の提出は、党の責任で議員提案として行う。
2、各省政策会議
①副大臣が主催し、与党委員会所属議員(連立各党)が参加する。その他与党議員も参加可能とする。
②政策案を政府側から説明し、与党議員と意見交換する。
③与党議員からの政策提案を受ける。
④提案・意見を聞き、副大臣の責任で大臣に報告する。
⑤政府の会議として、議事録要旨の公開など透明性を確保する。
⑥政府の会議なので、団体ヒアリング等については、対象の選定基準と与党議員の発言に十分留意する必要がある。
⑥部門会議は設置しない。
3、大臣チーム
①大臣・副大臣・政務官で構成。
②各省政策会議で、提案・意見を聴取し、大臣チームが政策案を策定し、閣議で決定する。

すべての権力を内閣に!2009/09/24

レーニンの画
 まるで「すべての権力をソビエトへ!」をスローガンに、あらゆる国家権力を簒奪していったボルシェビキの革命を見ているようだ。確かに革命を遂行するうえで、権力の一元化は必要だった面もあったのだが…。
 議員立法禁止という報道の元ネタは、9月18日に議員会館の民主党議員の事務所に配布された小沢幹事長名の文書らしい。小沢さんは、鳩山政権が出来るやいなや、政調の廃止を命じて、この紙を配って、イギリスに行ってしまった。たらたら党内論議をしていたらとてもまとまらない可能性があったと思うが、なにしろ本人がいないんだから押し戻しようもない。渋々ながら、小沢さんの指示した方向にすすめて行かざるをえないだろう。帰国した頃にはすでに既成事実化しつつあるわけだ。見事だよ。
 政権交代の成果を手っ取り早く実現するには、意志決定や権限を一元化することが効果的なのは事実だろうが、日本の議会制民主主義がどこまで耐えられるのか、絶対に安心とも言い切れない。一直線に独裁政権になるとはぜんぜん思わないけど、こういった手法が危険で、不安を感じさせるのは事実だ。
 古くさいナンセンスな慣例主義や前例踏襲の保守性、現状維持の弥縫策に長けた官僚政治、ナアナアの国対政治といった55年体制以来の日本政治の実態は、ある意味の安定感を持ち、擬似的に国民のコンセンサスを得るシステムとして機能してきた。
 法的にはかなり強力な権限を持つ総理大臣も、キングメーカーのような有力者が裏にいたり、派閥のボス連中の合意が前提だったり、族議員がいたり、役所の協力が必要だったり、産業界との綱引きが必要だったりと、非常に多元的な力関係の中に存在していた。公式・非公式の複雑な意思形成のバランスの上の存在であり、そうそう勝手気ままに振る舞うことは出来なかったのである。
 選挙で多数になったのだから法律通りに多数決でガンガン行きます。意思形成のプロセスは一元化してシンプルにすすめます。党内の足の引っ張り合いなんて認めませんよ、って方向なんだろうけど。大騒ぎして意見を出し合いながら「落としどころ」を探ってきたコンセンス型の「民主主義」に慣れた日本社会とは馴染まないんじゃないだろうか。
(※内容については別に)