ドイツ連邦議会選挙でSDPが敗北2009/09/28

ラフォンテーヌさん生写真だ
 09年9月27日に投開票が行なわれたドイツ連邦議会の選挙で、メルケル首相が率いる保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と右派の自由民主党(FPD)が過半数を獲得し、11年ぶりの中道右派連立政権が樹立されることになった。メルケル首相は続投、FPDのウェスターウェレ党首が外相に就任する予定。
 CDU・CSUは前回より後退して史上2番目に低い得票率となったが、SPDがそれ以上の負けっぷりで11・2%減と史上最低の得票となったため、CDU・CSUとSPDの左右大連立政権が崩壊した。FPDがプラス4・8%、左翼党がプラス11・9%、90年連合・緑の党がプラス2・6%と小政党が躍進し、ドイツ政治が2大政党制といえるかどうか微妙になってきたわな。
 大連立政権下で付加価値税の引き上げや、年金受給年齢の引き上げなどを行なって(結局SPDは反対に回ったが)、支持基盤である労組の反発を招き、アフガニスタンへの派兵でドイツ兵の死者が増えるなど、支持者離れが進んだためとも評されている。社会保障削減反対・アフガニスタン派兵反対を強く訴えた左翼党が躍進し、ドイツ政治の台風の目となった。
 左翼党はシュレーダー政権の新自由主義的改革路線に反対してSPDを離党した左派グループが結成した「WASG(労働と社会的公正のための選挙オルタナティブ)」と旧ドイツ社会主義統一党を減収とする「左翼党-民主社会党」が、政党連合としての「左翼党」(2005年)を経て2007年に正式に合併した政党だ。
 実は、僕は、左翼党党首のオスカー・ラフォンティーヌと握手したことあるのだ。1995年のJUSOS(SPDの青年組織)の大会に来賓で行ったときに、演説してたんだよね。左派色の強いJUSOSの中ではもともと人気があったけど、後から考えるとマンハイム大会を控えた時期で、SPD内の左派グループが盛り上がっていく時期だったんだな。とにかく絶大な人気で、演説後にJUSOSの代議員たちが我先に握手しに押し寄せるもんだから、僕もなんとなく紛れて握手してきたのです。
 ちなみにマンハイム大会というのは、連邦軍の海外派兵を容認するなど現実路線をとったルドルフ・シャーピング党首に、ラフォンティーヌが挑んで党首の座を奪い取った1995年のSPD大会。現役の党首が続投を表明している中で、対立候補として立候補することはドイツでも「謀反」にあたり、異例中の異例。「謀反」が成功したのは戦後ドイツ政治では、マンハイムのラフォンテーヌのみとのことだ。

09年9月
得票率(%)
議席
SPD
23.0(-11.2)
146(-76)
CDU・CSU
33.8(-1.4)
239(+13)
FPD
14.6(+4.8)
93(+32)
左翼党
11.9(+3.2)
76(+22)
90年連合・緑
10.7(+2.6)
68(+17)

 ちなみに同日に行なわれた旧東独ブランデンブルク、旧西独シュレスウィッヒ・ホルシュタイン両州でも州議会議員選挙が行われた。
 ブランデンブルクはSPDが議席を減らしら第1党を維持したが、シュレスウィッヒ・ホルシュタイン州議会はSPDが得票を大きく減らし政権から外れる見通し。2大政党が振るわず、小政党が躍進したのは連邦議会選挙と同じ傾向だ。
 なお、ドイツ連邦参議院は州政府の指名で構成されるため、州議会の選挙結果は連邦の政治に直結する。つまり参議院も保守中道が多数を占めることになったわけです。

■選挙結果(カッコ内は前回比) ■
 ●ブランデンブルク州
  社会民主党(SPD) 31(-2)
  左翼党 26(-3)
  キリスト教民主同盟(CDU) 19(-1)
  自由民主党(FDP) 7(+7)
  緑の党 5(+5)

 ●シュレスウィッヒ・ホルシュタイン州
  キリスト教民主同盟(CDU) 34(+4)
  社会民主党(SPD) 25(-4)
  自由民主党(FDP) 15(+11)
  緑の党 12(+8)
  左翼党 5(+5)
  南シュレスウィッヒ有権者同盟(SSW) 4(+2)
  ※前回選挙(69議席)と比べて定数増