原爆症認定訴訟で原告が18連勝2009/05/28

原爆症認定を求める被爆者たち
原爆症の認定を却下された東京都と茨城県の被爆者30人(すでにうち14人が死亡)が、国に処分取り消しと損害賠償を求めた東京第一次訴訟の控訴審で、東京高裁(稲田龍樹裁判長)は新たに9人を原爆症と認定する判決を下した。08年4月からの「新基準」でも認定されなかった10人のうち9人が原爆症と認められた。
原爆症の認定は、被爆者手健康手帳を持つ人のうち原爆症認定者が1%に満たないという現実離れした厳格な運用が長年にわたって行なわれてきた。03年、認定を却下された被爆者らがその処分取り消しを求めて全国17地裁に集団で提訴。国が連敗を重ねる中で、厚労省は08年にようやく認定基準を緩和したのである。
しかしこの「新基準」によってもなお認定されない被爆者が少なくなく、訴訟が続いてきた。現在も全国で343人(遺族含む)が全国の地・高裁、最高裁で係争中。新基準でも認定されない被爆者を救済する司法判断が続いている。
河村官房長官は東京高裁判決を受けて、認定基準のさらなる緩和を検討する考えを示したようだが、当然だ。ヒロシマ・ナガサキの地獄のなかを生き延びた被爆者を、64年たってなお苦しめる官僚的対応はまったく度し難い。個々の被爆者の条件にケチをつけ執拗に争い続ける姿は、時間稼ぎをして被爆者が死に絶えてしまうのを待っているかのようにも見える。
高齢の被爆者には時間がない。国は直ちに全員を救済し、被爆者の皆さんに少しでも安心して生活をしてもらえるようにするべきだ。麻生首相がマンガしか見ないのならせめて『はだしのゲン』でも読んでみたらどうか。被爆国のトップとして最低限の責任は果たして欲しいものだ。

コメント

_ ぴーす ― 2009/06/09 12:07

舛添要一厚生労働相は6月9日、原爆症集団訴訟の東京高裁判決について上告しないことを表明した。9人には近く認定手続きが取られる。集団訴訟の今後の焦点は、全面解決に向けた認定基準の緩和と、判決が確定していない未認定原告の救済策に移る。原爆症と認められなかった被爆者1人については、原告側が上告する予定。
厚労省は上告見送りの理由を「基本的に個別の認定の問題で、法令解釈違反などが見当たらなかった」としている。舛添氏は集団訴訟の解決について「原告の要望を聞いたうえで、最終的には麻生太郎首相の決断になる。(認定基準の緩和は)被爆者医療分科会の委員に医学的に議論してもらわないといけないが、司法の判断も尊重する。原告は高齢でもあるので、さまざまな事情を勘案して結論を出したい」と述べた。
政府高官は同日午前、解決時期のめどについて「8月の原爆忌までに方向性を出したい」と述べ、原爆症認定基準の緩和手続きなどを早急に進める考えを明らかにした。

_ ぴーす ― 2009/06/22 18:47

認定基準をさらに緩和
 6月22日、厚生労働省の被爆者医療分科会(会長、谷口英樹・日赤長崎原爆病院第1外科部長)は原爆症の認定基準を改定し、対象疾病に肝機能障害(慢性肝炎、肝硬変)と甲状腺機能低下症を追加することを決めた。5月の東京高裁判決を国側が受け入れたことにともなう措置で、7月から運用開始の予定。昨年4月に大幅緩和された認定基準がさらに広がることになる。
 現行認定基準は、がん、白血病、白内障、副甲状腺機能亢進症、心筋梗塞の5つで、爆心地から3・5キロ以内で被爆していることが条件。集団訴訟では肝機能障害と甲状腺機能低下症も認める判決が相次いていた。
 分科会では「判決は厳密な科学的な知見と一致するとは言えないが、司法判断は重く受け止めねばならない」との意見が大勢を占め基準緩和を決めた。ただし「放射線起因性が認められる」との条件がつけられており、基準緩和後も100人程度の原告が認定されない可能性がある。ここまで来たら政府もセコイことをいわず、全員救済に向けた決断をすべきだ。

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