裁判員裁判とハンディキャップ2009/05/26

裁判員裁判の法廷
裁判員法が施行され、間もなく裁判員裁判がはじまる。
たまたま問い合わせを受けたので、ハンディのある裁判員を迎える態勢について調べてみた。結論から言えば、まだぜんぜん出来ていないのが実際のところだ。車イス利用のような分かりやすいものは多少は考えているようだが、例えば聴覚障害のように裁判の流れを把握すること自体に障害がある場合はいったいどう運営するのか。裁判所までの移動や宿舎はどうなるか。介助者の扱いはどうか。
そもそも裁判員候補者名簿記載通知は、専用コールセンターに電話で問い合せるようになっているが、ファックスやメールの問い合わせ先も作るべきではないか。通知に点字の案内を同封するといった配慮は必要ないのか。
聴覚障害者について最高裁に聞いてみたら、要するに住所は書いてあるんだから手紙を書けばいいのではないかと。まあ、そりゃそうだがちょっとずれてるんじゃないか。来年度以降は検討課題とするというのだけど、たいした手間がかかるわけはないんだから、ファックス番号やメルアドくらいすぐに作ったらいいじゃないか。
さらに僕は詳細は分からないんだけど、裁判所には「はやとくん」とかいう電子速記の機械があって速記をリアルタイムに利用できるらしい。聴覚障害者の方々は裁判員をするときはこれを使わせてくれとか要望しているそうなんだけど、なかなか裁判所が渋ってるらしい。あるなら使わせればいいじゃないか。裁判所側は手話を中心に考えているようだが、聴覚障害者の中で手話を使う者は2割程度とのことだから、やはりリアルタイムの文字化が必要でしょう。
そもそも裁判員制度の制度設計自体が詰め切れていない部分が多く、走りながらのスタートの面はあるだろうし、いろいろ問題もあるだろうけど、裁判員を国民の義務とするのであれば、障害者への情報保障を後回しにしてよいわけはない。とりあえず出来ることは全部しろといいたい。出来ないことは、なるべく早く出来るようにしろと。
検察審査会審査員では以前は目耳の欠格条項があったが、2000年に廃止された。00~06年の聴覚障害者の審査員は合計9名(8000人中)とのことだが、聴覚障害者の率から考えて異常に少ない。どこかの段階で恣意的な選択が行われている可能性があるんじゃないか。
裁判員における聴覚障害者も候補者にはなった後の選任過程で裁判官が面倒がったりあるいは「善意」で辞退をすすめることがないかは疑問が残る。裁判員制度の是非はともかく、ハンディキャップの有無が司法参加の道を狭めることになってはならないし、その成り行きをチェックしていく必要があるだろう。

北朝鮮が2度目の核実験2009/05/26

金正日
北朝鮮が5月25日、核実験を実施したと発表した。
韓国気象庁によると25日午前9時54分に北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)豊渓里でM4・5の人工的な揺れが観測された。日本の気象庁も25日9時54分40秒ごろ北朝鮮北東部を震源とする推定M5・3の地震波を観測。米地質調査所によると地震の規模はM4.7。CTBTOが世界39カ所の地震波観測網から収集したデータによると、震源地は前回(06年10月9日)の核実験実施場所とほぼ同じ、震源の深さは約0・1キロ、M4・5(前回はM4・1)。マグニチュードが0・2上がるごとにエネルギー量は2倍になるため、今回は4倍と推定される。
核専門家の多くは、今回の核爆発の規模をTNT火薬換算で4キロトン未満と分析(前回1キロトン前後)している。インタファクス通信などによると、ロシア国防省報道官は、核実験の爆発規模について、「10~20キロトンの威力」と指摘した。また、韓国の李相喜(イサンヒ)国防相は、国会国防委員会で「1キロトンから最大20キロトンだった」と述べている。
また、核実験後の25日正午過ぎに咸鏡北道花台(ファデ)郡舞水端里(ムスダンリ)付近から1発、午後5時過ぎに江原道(カンウォンド)元山(ウォンサン)付近から2発の短距離ミサイルが発射された。
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■衆議院:北朝鮮核実験実施に対する抗議決議
 (第171回、09年5月26日)全会一致
 5月25日、北朝鮮は、国連決議や六者会合共同声明、更には日朝平壌宣言に明確に反して、2回目の核実験を強行した。
 この暴挙は、先般のミサイル発射と並び、我が国を含む地域の平和と安定を脅かすものであり、我が国政府は、国際社会と連携しつつ、我が国の安全を確保すべく万全の措置を講ずるべきである。
 同時に、度重なる核実験は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、唯一の被爆国の我が国としては、決して容認できるものではない。特に、最近の核廃絶の気運の高まりに逆行するものであり遺憾の極みである。北朝鮮に対し、これまでの諸合意に従い、すべての核を放棄し、国際社会の査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むよう要求する。
 政府は、北朝鮮に対して制裁を強めるなど断固たる措置をとるとともに、拉致問題、核、ミサイル等、北朝鮮との諸懸案を解決すべく、国際社会の理解と協力を得つつ、外交努力を倍加すべきである。
 右決議する。
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■参議院:北朝鮮核実験実施に対する抗議決議
 (第171回、09年5月27日)全会一致
 5月25日、北朝鮮は、国連決議や六者会合共同声明、更には日朝平壌宣言に明確に反して、2回目の核実験を強行した。
 この暴挙は、先般のミサイル発射と並び、我が国を含む地域の平和と安定を脅かすものであり、我が国政府は、国際社会と連携しつつ、我が国の安全を確保すべく万全の措置を講ずるべきである。
 同時に、度重なる核実験は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、唯一の被爆国の我が国としては、決して容認できるものではない。特に、最近の核廃絶の気運の高まりに逆行するものである。北朝鮮に対し、これまでの諸合意に従い、すべての核を放棄し、国際社会の査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むよう要求する。
 政府は、北朝鮮に対して制裁を強めるなど断固たる措置をとるとともに、国家主権並びに基本的人権・人道にも関わる極めて重大な拉致問題、核、ミサイル等、北朝鮮との諸懸案を解決すべく、国際社会と連携し、積極的な外交を推進すべきである。
 右決議する。
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■朝鮮民主主義人民共和国の核実験実施に強く抗議する
 (09年5月25日)フォーラム平和・人権・環境/原水爆禁止国民会議 
 朝鮮民主主義人民共和国政府は(以下北朝鮮)は、5月25日、「再度の地下核実験を成功裏に実施した」と発表しました。
 私たちは、この間2006年10月9日の北朝鮮の核実験に対して強く抗議をしてきました。そのことは、私たちが「人類と核は共存できない」とする立場から「あらゆる国の核実験・核兵器」に反対し、平和と核軍縮をめざしてきたからです。また北朝鮮のこの間の一連の核兵器にかかわる動きに対しては、NPT体制の強化・確立を基本に対応してきました。
 こうした立場から、今回の北朝鮮の核実験については、東北アジアの非核と安全保障を揺るがすもので、世界的な核軍縮の流れに逆行するものであり、断じて許す事はできません。あらためて強く抗議します。今回の核実験は、北朝鮮が国際社会でますます孤立化することになるだけです。
 私たちは、北朝鮮に対し、今回の核実験に対し強く抗議すると同時に、直ちに実験に関する施設の放棄を求めます。いかなる理由があれ、いかなる国であれ、核実験の準備、実験、そして核兵器保有は許されるものではありません。
 私たちは、今ほど対話と協議が求められているときはないと認識します。2002年の日朝ピョンヤン宣言、2005年の6ヵ国共同声明に基づき、この間の6ヵ国協議の実績を踏まえ、関係各国は引き続き6ヵ国協議を誠実に進めることを求めるものです。さらに北朝鮮が、国際的な核軍縮の枠組みであるNPTへ早期に復帰し、国際的な信頼を回復するよう要請します。
 東北アジアに非核・平和の確立、日朝国交正常化への道を確かなものにする必要があります。私たちは、そのため取り組みを引き続き強化する決意です。
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■核実験に対する抗議(09年5月26日)
朝鮮民主主義人民共和国 国防委員長 金正日殿
日本労働組合総連合会/原水爆禁止日本国民会議/核兵器禁止平和建設国民会議
 5月25日午前、貴国は「地下核実験」を実施したと発表しました。核実験は、朝鮮半島を含む北東アジア地域の安全・安定に対する暴挙であるばかりか、4月の弾道ミサイル発射行為とともに、世界の平和と安全に背を向けるものであり、断じて許されるものではありません。
 貴国は国連加盟国として、国連安保理決議第1718号を履行する義務を負っています。核実験の強行という行動は、明白な国連決議違反であり、平和を願う国際世論に対する真っ向からの挑戦です。
 こうした姿勢をあらため、核拡散防止条約(NPT)および国際原子力機関(IAEA)保障措置への早期復帰を約束した第4回六者会合・共同声明(2005.9.19)の完全実施を求めるものです。
 私どもは、貴国の核実験に厳重に抗議し、直ちにすべての核兵器、核計画の放棄を 要求するとともに、国際社会の一員としての国際合意の誠実な履行を求めます。
                                          以上
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◆5月26日 朝鮮中央通信社報道
 われわれの科学者、技術者の要求に応じて、共和国の自衛的核抑止力をあらゆる面から強化する措置の一環として2009年5月25日、もう一度の地下核実験を成功裏に行った。
 今回の核実験は、爆発力と制御技術において新たな高い段階で安全に行われ、実験の結果、核兵器の威力をさらに高め、核技術を絶え間なく発展させられる科学技術上の問題を円滑に解決することとなった。
 今回の核実験の成功は、強盛大国の大門を開け放つための新たな革命的大高揚の炎を激しく燃え上がらせ、150日戦闘にこぞって立ち上がったわが軍隊と人民を大いに鼓舞している。
 核実験は、先軍の威力で国と民族の自主権と社会主義を守り、朝鮮半島と周辺地域の平和と安全を保障するうえで寄与するであろう。
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