ピースボート海賊から護衛2009/05/20

ピースボート
こうした報道を受けて、嫌がらせの電話などが結構あったようだ。
僕は別にピースボート事務局の肩を持つわけでもないし、具体的な認識や判断の経過も知らないから、個別ケースとして適否は分からない。でも、最近この類の発想が増えているような気がして不愉快だ。
そもそも何事かを批判したり主張することと、当然の権利を行使することはなんの関係もない。にも係わらず、批判したり権利を主張することを否定的に感じて、批判するなら権利を行使するなとわんばかりの議論が、非常に幅広く存在する。
原発批判するなら電気使うなとか、年金制度を批判するなら年金もらうなとか、医療制度を批判するなら医者にかかるなとか、というのと同じだ。
現状の年金制度批判するのはちゃんと年金もらえるようにして欲しいからだし、医療制度を批判する場合だって医者がいらないという意味じゃない。警察の機構で問題が起れば批判するのは当然で、むしろちゃんと安全を確保してもらわないとこまるから批判するわけでしょう。
最後は、お国を批判するなら日本を出て行けとなるわけだけだ。黙って堪える人がお好み、正論で批判したり権利を主張する生意気なヤツはなぜか気に入らないというのは、多数におもねて何も出来ない自分の不甲斐なさの裏返しではないか。結局、現状を擁護するイデオロギーにしかならないのに。
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MSN産経ニュース(2009.5.14)
ピースボート護衛受ける ソマリア沖

 海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが13日、分かった。ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。
 海自の護衛艦2隻は11日から13日にかけ、ソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶7隻を護衛。うち1隻がピースボートの船旅の旅客船だった。ピースボートは社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地のNGO(非政府組織)や学生らと交流を図ることなどを目的としている。
 66回目となる今回の船旅は約3カ月半に及ぶ地球一周で、北欧5カ国とフィヨルドを巡るのが目玉。約600人が参加し、4月23日に横浜港を出発後、中国とシンガポールに寄港。ピースボートのホームページには船旅の最新リポートとして、デッキで催されたフルーツパーティーの様子が掲載されている。
 ピースボート事務局によると、船旅の企画・実施を行う旅行会社が護衛任務を調整する国土交通省海賊対策連絡調整室と安全対策を協議し、海自が護衛する船団に入ることが決まったという。
 ピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明にも名を連ねている。事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(旅行会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話している。

コメント

_ 宇宙戦士バルディオス ― 2009/07/02 21:22

>当然の権利を行使する

 初めてコメントします。
 早速ですが、驚かされました。ピースボートは、何時から自衛権の行使(と、その手段としての自衛隊)を、当然の権利と主張するようになっていたのでしょうか?今まで、憲法違反だの、アジア諸国の警戒を云々とは言ってこなかったのでしょうか?
 憲法の平和主義とは、要するに自分で自分を守ることも、その手段を持つことも放棄するということです。殺して自分を守るくらいなら、殺されろ、奴隷にされろというのが、憲法9条の平和主義の正体です。その憲法の精神に反することは、とても「当然の権利」なんかではありません。少なくとも、自衛隊を違憲視する主張からは、絶対に「当然の権利」などという結論は、導けない。
 自分の身が危険になったら、さっさと捨てる程度の主義主張は、最初から本気ではないということです。ピースボートの平和主義は、自分では信じていない主張なのです。

_ 鉄甲機 ― 2009/07/27 22:48

こんばんは。初めまして。京都の野崎さんのブログから来ました。
ちょっと昔の記事にコメント入れますが、ご容赦を。

>そもそも何事かを批判したり主張することと、当然の権利を行使することはなんの関係もない。

批判することと存在価値を否定することは別。
「電気なんか必要ない!」と主張する人が電気を使っていたり、「年金制度など必要ない!」と主張する人が年金貰っていたり、「医療制度など必要ない!」と主張する人が自ら医者にかかったりすると、当然批判されますね。
で、ピースボートは自衛隊の存在価値を否定されておられたわけで。

乗客乗組員の安全が絶対なのは確かです。ピースボートは危険海域を迂回するか、引き返すべきでした。

>黙って堪える人がお好み、正論で批判したり権利を主張する生意気なヤツはなぜか気に入らないというのは、多数におもねて何も出来ない自分の不甲斐なさの裏返しではないか。

その通り。
私も十年ぐらい前までは「憲法は改正するべきなのでは」「日教組や全教が教育現場に思想介入するのは問題なのでは」「北朝鮮は日本人を拉致しているのでは」と言っただけで、さんざん批難されたもんですわ。

_ ウラガン ― 2009/09/09 12:31

はじめまして。
この事件についての野崎さんの記事は,平和憲法が「自分の身を守る」という「当然の権利」を奪うという,基本的人権を侵害する性質を持つことを明らかにしましたね。「社民党政策審議会のスタッフとして反核・平和の問題を中心に取り組んでいる」方として,憲法の改正と自衛隊絵海外派兵容認を福島さんに進言していただくのが筋と思います。

_ ぴーす ― 2009/09/20 05:21

鉄甲機様
ピースボートが自衛隊の存在価値を否定しているかどうかは存じません。社民党の場合は存在価値を認めておりますが、ソマリア派遣には反対しております。
ウラガン様
憲法は関係ないと思います。議員のいちいちの発言まではチェックしていませんが、少なくともオーソライズされた文章内で「憲法に反するからソマリア派遣に反対」と言ったことはないはずです。ソマリア派遣反対の理由は憲法ではありません。理由は、海賊対処は海上治安の問題であり、海上治安は我が国おいて第一義的に海上保安庁の任務とされていることです。憲法9条があろうが無かろうが、海賊対処に最初から自衛艦が出動することには反対せざるをえないのです。

_ 鉄甲機 ― 2009/09/22 00:14

>ピースボートが自衛隊の存在価値を否定しているかどうかは存じません。

そんなことも知らずに「政策審議会のスタッフ」をしているんですか。このピースボート擁護記事をアップしたんですか。正直言って、驚愕を禁じ得ません。
ピースボートは「自衛隊は違憲、解体すべきである」と主張しています。東京のピースボート事務所に連絡して確認してください。「社民党政策審議会のスタッフをしております」と言えば、包み隠さず教えてもらえるでしょう。

>社民党の場合は存在価値を認めておりますが、

社民党はまた「自衛隊は合憲」になったんですか。ふーん。

ついでに横レス失礼。
>憲法9条があろうが無かろうが、海賊対処に最初から自衛艦が出動することには反対せざるをえないのです。

海保は「無理」と言ってますが。
地球の裏側まで行って長期間護衛作戦を遂行できる海上保安庁巡視船は「しきしま」唯一隻。
補給を軽視し、隊員の士気にすべてを任せる軽薄思考は旧軍で十分です。

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