ヨイトマケの唄2009/08/30

墓です
 総選挙の投票日だったが、ハツイ伯母さんの四十九日の法要に出席するために、妹と一緒に郡山へ日帰りで帰省。ハツイ叔母さんは僕の父親の長兄の奥さんで、実質的に親戚のまとめ役である伯父さんの妻として、野崎家の長男の「嫁」として、実際の細々とした雑事一般を一手に引き受けてくれていた。7月10日に倒れて14日に亡くなったのだが、選挙直前で急でもあったし突然のことだったので葬儀にも出席できなかった。せめて四十九日くらいは行かなくてはということで。
 僕の父はリベラルな人だったが、田舎の人間関係の中で「嫁」としての重圧を受けていただろう母にとって、「嫁」の先輩である叔母さんは頼りになる存在だったと思う。とくに父が亡くなってからは、たぶん親戚の中で孤立感を抱いていただろう母をいろいろ気遣ってもらったようだ。その母も亡くなって12年、叔父さんや叔母さんにはすっかり不義理をしていたなかの訃報だ。
 僕は伯母さんの生涯について論評するほどのことを知らないしその資格もないけれど、伯母さんのことを考えるとつい連想してしまうのが、「ヨイトマケの唄」。勝手なイメージに過ぎないんだけど。僕の従兄弟にあたる伯母さんの息子は重度の障害をもって生まれ、この従兄弟を介護し守るための伯父さん伯母さんの苦労は大変なものだったと思う。障害者の権利を高々と訴えることなど思いもつかない、頼るべき福祉も限りなく貧弱な田舎のムラ社会で、障害を持つ子どもを働きながら育てあげる大変さは僕の想像を超えている。伯父さんと、従兄弟のあまりの憔悴ぶりが痛ましい。
   美輪明宏さんが自ら作詞・作曲して1966年にヒットしたのが「ヨイトマケの唄」。今では米良美一や桑田佳祐、槇原敬之のカバーの方が有名かも知れないが、美輪さんの友人の亡き母を回顧する実話に基づくものだという。「ヨイトマケ」は、建設機械が普及していない頃、地固めをするために重量のある槌を滑車を使って上げ下げするときのかけ声「ヨイっと巻け」を語源とするらしい。発表後間もなくして歌詞の中に「土方」、「ヨイトマケ」よいった差別語が含まれているとして放送禁止歌に指定されていたらしい。こんないい歌を、くだらないコトバ狩りで。

<ヨイトマケの唄>

父ちゃんのためなら エンヤコラ
 母ちゃんのためなら エンヤコラ
  もひとつおまけに  エンヤコラ

今も聞こえる ヨイトマケの唄
 今も聞こえる あの子守唄
     工事現場の昼休み たばこふかして目を閉じりゃ
 聞こえてくるよ あの唄が
   働く土方の あの唄が
    貧しい土方の あの唄が

子供の頃に小学校で ヨイトマケの子供
   きたない子供と いじめぬかれて はやされて
  くやし涙に暮れながら 泣いて帰った道すがら
   母ちゃんの働くとこを見た
    母ちゃんの働くとこを見た
(略)

父ちゃんのためなら エンヤコラ
 子どものためなら エンヤコラ
 (作詞・作曲:丸山明宏)

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