米軍従業員不当解雇で申し入れ2010/12/10

防衛相申し入れ
 福島党首と照屋議員が防衛省に申し入れにいくのに同行した。
 海兵隊のキャンプ瑞慶覧で自動車機械工として働いていた安里治さんが、米国人上司のパワハラで不当に解雇された件について。安里さんが、解雇処分を承認した国を相手に解雇無効と解雇後の賃金の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が12月7日にあり、福岡高裁那覇支部(橋本良成裁判長)は「制裁解雇は無効」と断じた。未払い賃金の支払い額は一部減額されたが、一審の那覇地裁判決と同じ原告勝利の判決だ。
 安里さんは、2007年1月の米国人上司に対する発言を口実に同年12月に懲戒解雇された。「ウチクルス」(懲らしめてやる)と言ったことを、「殺すと脅迫した」とされたもので、国側は「殺す」と発言したとして争った。
 今年4月の那覇地裁判決は、発言について「上司に対する不満等を暴力的な言葉を使用した表現にとどまり、解雇事由に当たらない」とし、解雇無効とその間の賃金のほぼ全額の支払いを命じていた。これに対して国側が控訴。沖縄防衛局は「事実認定や判断を認めれば、駐留軍等労働者の円滑な労務管理や基地内職場の秩序維持に重大な影響があり容認できない」としていた。高裁は和解を勧告し、国が在沖米4軍に復職の受け入れを打診したが、「米軍側の受け入れ見込みは厳しい」として和解協議は決裂していた。
 基地従業員の法的な雇用主は日本政府で、米軍施設で米軍の指揮命令を受けて就業する。国家による派遣労働のような仕組みになっている。日本の裁判で解雇無効の判決が確定した場合でも、「諸機関労務協約」を根拠に米軍側が復職を拒むことが出来るとされている。
 そんなアホな。日本で日本人の労働者を働かせているのだから、日本の法制度に従うのは当然じゃないか。勝手な誤解に基づいて不当に労働者の生活を奪って地裁でも高裁でも負けて、なお判決に従う気はないとはどーゆーことか。抑止力がどうことか、普天間や辺野古をどうするといったたいそうなことを言っているわけではない。こういう日常的な関係のなかで米軍の傲慢な本音や、防衛省の属国根性が表わているのである。日米同盟が大事だとか大声でいってる人たちは、こういう当たり前のことをちゃんとさせるべきだとなぜ考えないのか。駐留する国の法律は無視して都合のいいように勝手に振る舞う外国軍隊。それに唯々諾々とヘツらう政府。沖縄の人が怒るのはしごく当然だ。
 照屋議員は北澤防衛相に対して、沖縄の方言では「クルス」というのは懲らしめると言う意味で「殺す」と言うときは「死なす」と言うんだ等々柔らかく説明しつつ、ちゃんと復職させるように厳しく迫った。北澤大臣の答はあいまいな感じ。日米地位協定と労務提供契約の見直しについては、外務省に言えとのこと。
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 基地内での労働力を求める米軍と防衛省が締結した労務提供契約は3種類の協約がある。諸機関労務協約(IHA)、基本労務協約(MLC)、船員契約(MC)の3つである。防衛省が労働者を雇用し、協約に基づいて労務を在日米軍に提供。両者が分担して労務管理を行っている
・基本労務契約は、会計事務職、重車両運転手、フォークリフト運転手、エンジニアリング専門職、警備員、消防士など。
・船員契約は、船長、機関長など。
・諸機関労務協約は販売員、コック、ウェイター、ウェイトレスなど。
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2010年12月10日
防衛大臣
北澤俊美殿
衆議院議員 照屋 寛徳
参議院議員 福島みずほ
参議院議員 山内 徳信

不当解雇された米軍基地従業員の即時復職等に関する要請

 去る12月7日、元在沖米軍基地従業員・安里治氏が米国人上司のパワーハラスメントによる制裁解雇(懲戒解雇)の無効等を求めた訴訟の控訴審判決が福岡高裁那覇支部で、あった。判決は、一審に続いて解雇無効を認定し、「本件制裁解雇には制裁解雇事由が認められず、(中略)解雇権濫用に該当する」と結論づけた。まさしく安里氏の全面勝訴である。
 また、本件控訴審をめぐっては、日本の裁判で解雇無効の判決が確定した場合でも、現行日米地協定とそれに基づく諸機関労務契約(IHA) を根拠に米軍が復職を拒否できることが明らかになった。判決は、この点についても「『安全上の理由による解雇事案』に該当しないことは明らか」 と協約運用のあり方にまで踏み込んでいる。
 安里氏の最大の目的は即時復職である口法的雇用主たる防衛省は、司法判断を真撃に受け止め、下記について適切かっ実効性のある措置を講じられたい。



1. 政府は上告することなく、当該基地従業員@安里治氏の即時復職実現に向けて最大限の努力を尽くすこと
2. 政府は日米地協定を抜本改正し、基地従業員の権利が正当に確保されるよう諸機関労務契約(IHA) をはじめとする3つの労務提供契約を見直すこと。


以上