消費税反対と左翼2010/09/10

 消費税の議論になると思い出すのは、15年ほど前にデンマークのアンデルセン福祉大臣(当時)の取材をしたときのことだ。当時、『月刊社会党』の編集者だった私は、たまたま来日したアンデルセン大臣の日程を確保したからインタビュー記事をつくれと半坂編集長(当時)に言われて、五島議員との対談をセットした。
 もともとぺーぺーの自分が現職の外国閣僚と直接話すつもりはなかったんだけど、たまたま時間が空いて話す機会ができた。社交辞令の後で、いきなり聞かれたのは、「社会党はなぜ消費税に反対するのか?」と。
 私はしどろもどろで、「導入の経緯が」とか「逆進性が」とか答えたわけだけど、説得力のある説明は出来なかった。もう、うろ覚えだけど概ね次のようなことを言われたのです。
 「世界中どこに行っても税金を減らせというのは右、増やせというのは左。左翼ならちゃんと税金を取って、きちんと還元することを目指すのが当然だ。」
 「どこからどう税金をとるかは国による政策も問われるが、自由な社会や自由な貿易を守ることを前提にすれば、所得への累進課税や法人課税の強化には限度がある。」
 「軍事費や無駄な経費を減らすのは当然だがこれも限界がある。最終的に国民に十分は福祉や教育を行き渡らせるには消費課税がどうしても必要になる。逆進性などの問題は緩和する様々な対策が行なわれている。」
 「多くの国で様々な経験が蓄積されており、福祉国家のためには消費税は避けて通れないことは十分理解されているはずだ。現に左翼が強い国ほど消費税率は高い傾向がある。」
 「日本の消費税の導入の経緯は問題があったのかも知れないが、社会党はすでに政権を担うことになったのだから過去のことばかり言っていられない。左翼なら正面から増税を語るべきで、社会党は政権党(当時)として、増税をして同時にその成果を国民が理解できるように還元しなくてはならない。」
 当時の私としてはこれにぜんぜん反論ができなかったんだなぁ。村山政権初期のことなんだけど、この頃はまだ89年の土井ブーム・反消費税で「山が動いた」記憶が新しかったし、村山さんが総理になったんだから消費税率アップは認められないよね、って雰囲気だった。まぁ、私も普通に反対な感じでいたのだけど、これに社会民主主義の本家からダメだし食らったわけです。
 それで、いろいろ勉強したり考えたりして、私は消費税増税論者になったのです。もちろん単に今のまま増税するのではなく、いろいろな条件がありますが。いまの消費税の仕組みには問題が多いし、法人税や高額所得者への減税の穴埋めに消費税収をつかうような現状は問題。所得の再分配機能を弱める形での消費税率アップは認められない。でも、所得や資産や相続にちゃんと課税したうえで、消費税がきちんと福祉や教育の向上に使われるのであれば、増税してもいいんじゃないか。
 現状の消費税は批判してもいいけど、むしろ大胆な消費課税も含めて国民生活向上に繋がるような税制を積極的に提案していくべきではないかという感じでいるわけです。
 いまだに党内は消費税反対の主張が多勢だし、「左翼」的勢力全体を見ても反対論が根強い状況を考えれば、消費税も含めて増税ちゃんとしましょうというコンセンサスを作るのはなかなか容難しいでしょうが。
 ちなみに私、税制は担当じゃないので、これは単なる個人的な意見にすぎません。いまや目にすることは難しいでしょうから、そのときにまとめた記事を参考までに掲載します。お二方の対談を元にまとめたものです。
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(月刊社会党95年1月号)

「北欧福祉社会と税制――デンマーク元社会大臣との対話」

                          B・R・アンデルセン・五島正規

社民党がつくった福祉社会
五島正規 今日はデンマークのアンデルセンさんを迎えて、福祉を中心に、政治的な面も含めておうかがいしたいと思います。
 いまの北欧では社会民主党と保守党の間で福祉の問題に関する大きな対立はないと聞いています。こうした状態に至るまでには福祉をめぐっての対立もあったのでしょうか。
ベント・ロル・アンデルセン 北欧だけでなくほかの国から見てもそうですが、こういう福祉社会は社会民主党がつくった、というふうに考えられています。
 党の政策綱領などを見ると、それぞれの政策に違いはあります。しかし、重要な福祉関係の法律は過半数を大きく超える賛成で成立しており、実際にはそれほどの差はないわけです。政策の違いは立場をはっきりさせるために言っているという面があって、実質的にはニュアンス程度の微妙な違いだけです。
 例えば福祉予算を削らなくてはならない場合、提案する額は保守系のほうが多く、社民系のほうが少ない。高齢者福祉のある部分を民営化しようという議論は保守党のほうに強くて、社会的・公的なものでよいという意見は社民党に強い。そういう違いはありますが、サービスが必要という点は同じです。
 福祉国家をやめようと主張している政党はどこもありません。もう少し自由な分野を大きくしようというのが保守系で、それではだめだというのが社民党の主張です。これは議論のための議論とも言えます。保守系が節約を言う理由も、福祉国家を維持するために放漫ではいけないというものです。
 われわれの福祉政策は社会主義のイデオロギーでつくられているわけではありません。どちらかというと社会的な連帯が福祉国家の理念であって、すべてを社会化していくという社会主義のイデオロギーではないのです。
五島 日本でも高齢化社会を迎えるなかで、福祉の水準を上げていかなければいけないという点ではコンセンサスがあります。
 ただ北欧型の福祉については、日本では二つの意見が出されています。一つは、北欧型福祉モデルにはカネがかかり、それを支える経済の活力が失われてしまうのではないかという意見。もう一つは、これからの福祉では「選択」が重要なウェートを持つので、より選択肢の広いシステムを考えるためには、北欧型のモデルよりも民間に依存する仕組みにしたほうがよいのではないかという意見です。その点についてどのようにお考えでしょうか。
アンデルセン 北欧型の福祉社会だと経済の活力が失われるという議論が正しいなら、公的セクターの多い国はみな経済が低迷していなければなりません。逆に公的セクターが小さい国はみなよいのか。財政は黒字なのか、貿易収支はどうか、失業率や一人あたりGNPはどのくらいなのか。OECDのデータを調べればすぐわかりますが、実際に相関性はありません。一般的に公的セクターが大きいヨーロッパが、より公的セクターが小さいアメリカや日本よりも経済的に悪いという実態はありません。
 日本の経済状態はよくても、アメリカはずっと悪かった。同じように公的セクターが小さい国でも、経済のいい国と悪い国があるわけです。ヨーロッパではデンマークは経済的に一番強い国です。デンマーク、スウェーデン、オランダ、フランスなど公的セクターの強い国は、スウェーデンを除いてみんな経済は順調です。先進国で経済状況がいい国は、概して公的セクターが大きい国と言えるのではないでしょうか。
 もう一つ重要なことは、女性がどれくらい就労しているかということです。これとパブリック・セクターの大きさは相関性があります。女性が就労すればGNPもふくらむし生産にもかかわります。同時に税金も払うことになりますから、公的セクターを大きくすることもできるわけです。
 二番目の、選択性の問題ですが、一般的な商品ならいろいろな店があれば質や価格で自分で選べるということはたしかに言えます。しかし、これは公的セクターでもできないことではありません。例えば公的義務教育でも学校の選択ができます。地域だけでなく、運営のやり方で選択することもできます。また保育園や病院も選択できます。公的セクターだからできないとは一概に言えません。それが公的セクター同士の競争にもつながっていくわけです。

大家族主義のメンタリティー
五島
 よくわかりました。  日本の場合、高齢化がきわめて遅れてしかも急激に起こってきたということが特徴です。そのためとくにお年寄りのメンタリティーの面でいろいろな問題が起こっています。北欧で高齢者が別世帯という社会習慣はいつごろからあったのですか。日本では大家族主義が長く続いて、そのなかでつくられたメンタリティーがいまだに強く残っています。そのへんの違いはどうでしょうか。
アンデルセン アジアでは一般的に大家族制の歴史が長いですが、北欧は親子が別居するのが伝統です。アジアの大家族制の理由を説明をするのが難しいように、デンマークでなぜ別居するのかを説明するのも難しい。かつて多くの国に大家族が中心の時期があったし、いまでもあるわけですが、大家族の社会の特徴は農業が中心的な産業であるということです。生産の場が農村地域から都市に移ってきて、経済の中心が二次、三次産業に移っていくときに、子どもが外に出ていきます。デンマークでは一九世紀の終わりにそれが起こり、そのころから別居が当たり前になってきました。
 日本ではまだ大家族主義の伝統があると言われていますが、どれだけこれが続けられるのか、私にはわかりません。
五島 日本も農村人口が人口の五〇%あったのは五〇年も前のことで、最近では第三次産業の人口のほうが圧倒的に多いという状態にまできています。それに加えて一極集中的な都市化が非常に進んでいて、現実には親子同居世帯は少ない。にもかかわらず、メンタリティーとしては家族主義が強く残っていて、親のほうにも子どものほうにも一緒に暮らさないことが不幸であるかのような感情が残っている。このへんが単に習慣の問題なのか、別の問題があるのか、非常に難しい問題だと思います。
 こういう国民的なメンタリティーが、福祉をパブリック・セクターで処理することに対する反対意見の一つに使われることが往々にしてあるわけです。
アンデルセン まったく同感です。南ヨーロッパにもそういうところがまだ残っています。大家族主義はうまく機能しているうちはよいのですが、うまくいかなくなったときには監獄のようになってしまいます。そのときは何かをしないと、家族機能そのものが維持できなくなります。
五島 いまの日本はまさにそういう状態にあります。しかも保守党の有力な政治家のなかには、「親孝行」といったものを軸に高齢化社会に対応する、それを軸にして税制や相続問題を考えようという人がいます。そういう政治的な力がまだ存在していることは非常に不幸です。
アンデルセン こうした議論はイデオロギーのレベルの話が多いようです。しかし、本当に変えるエネルギーになるのは人々のインタレスト、利害がポイントです。いまのところ男性の意見が力をもっていて、その限りでその価値観が表に出ています。しかし、それが通ると、高齢者自身や女性たちが苦労することになるわけです。高齢者自身や実際に介護にかかわる人が力をもたないと、制度は変わりません。とくに女性のインタレストがどれだけ表に出るかが非常に重要です。
五島 日本の場合は高齢者自身がそれを求めている面があります。
 もう一つ。経済的な問題ですが、日本では所得のフローの部分はそれなりに公平化してきていますが、資産に関しては非常に大きな格差が存在しています。世代間で見ると六五歳以上の方と、三〇歳代、四〇歳代の人の資産格差が大きい。高齢者の持っている資産をどう社会化して、福祉国家をつくるのかが大きな課題になります。デンマークでもそういう悩みはあったのでしょうか。
アンデルセン 高齢者によっていろいろ考え方は違うでしょう。例えば家を持っていても、息子が面倒を見てくれれば資産として全部渡す人もいます。家族間で給付と負担の分配をすると考える人もいます。しかし、そのコストを実際に払うのはたいていお嫁さんになるわけですが、おそらくその影響力は小さいでしょう。あるいはそれほど面倒をみない。共働きだったりすると、日中は独居で寝たきりになっている。資産を同じように持っていても、その老人にとっては公的セクターのほうがいいわけです。
 高齢者自身の状況や興味でどちらかがうまく機能すれば、本人にとってはいいのですが、なにも対策をとらないで最後のケースのようになると悲惨です。子どもは共働きで日中独居、寝たきりになると最後は入院してなかなか家にも戻れない。なにも手を出さなければそういう人がどんどん増えてきます。
 ですから、高齢者自身が本当に昔の家族的な制度を求めているのか、どういう状況を想定しているかによっても違うでしょう。改革があるときには価値観のぶつかりあいが当然あるわけで、力のあるほうに傾いていくわけです。

安すぎる固定資産税
五島
 お年寄りの資産の社会化に関してはどうですか。
アンデルセン 私は八九年から毎年、日本に来ているのですが、日本の固定資産税は安すぎる。どうしてもっと高くしないのか、経済学者として理解できません。
 借金をしてでも買った方がいいという事態が起こると、それがバブルだったわけですが、それがある日崩れれば、貸した銀行はパニックになるはずです。大蔵省があまり表に出ないようにしているのでしょう。早い時期から適正な固定資産税がかかっていれば、こういうことは起こらなかったのです。
 いますぐやったらマーケットが崩れてしまいますから、問題の解決にはなりません。資産価値が下がれば、高齢者の相対的な力も下がってしまいます。
五島 デンマークでは地方自治体の税収は所得税と固定資産税が中心と聞きましたが、その比率はどのぐらいですか。
アンデルセン それは市町村で決められます。社民党系の自治体は固定資産税が比較的高く、自由党系(昔の農民党系)のところは低い。だいたい歳入の一〇分の一ぐらいが固定資産税です。コペンハーゲンの西にあるアルバースルンという都市は社民党ですけれども、もっと高い固定資産税を決めています。
 地方交付税はだいたい一〇%ぐらいですから、いまは九割が自主財源です。かつては地方交付税が大きかったのを、だんだん自前の分を増やしてきたわけです。
五島 法人の課税はどうなっていますか。
アンデルセン 法人税は利益の三四%です。
五島 法人に対しても固定資産税があるのですか。
アンデルセン たいした額ではありません。
五島 個人も固定資産税は市ですか。
アンデルセン 固定資産税は市と県にいき、国にはいきません。基本的には市町村レベルにいく分が一番多いのです。
五島 個人の住宅の固定資産税は高いのですか。
アンデルセン 固定資産税は土地の評価額と建物の評価額で合計します。建物よりも土地のほうにかかるけれども、その土地代が安いのです。
五島 法人の固定資産税率も個人の固定資産税率も一緒ですか。
アンデルセン 法人の場合には、土地と建物のいわゆる固定資産税が市で、利益の三四%が国です。税率は個人の場合も法人の場合も同じです。商業価格の一%以下です。
五島 日本の場合、標準課税価格はマーケット価格ではありません。
アンデルセン 毎年評価を変えるのですが、下がった場合にはなかなかそれと一緒に下がらず、時間差が出てきます。

見えにくい消費税
五島
 デンマークは消費税が二五%ぐらいで、かなり高い。間接税に対する国民の意見はどうですか。
 もう一つ、福祉とか医療、教育といったパブリック・セクターから提供されるものは非課税なのですか。
アンデルセン デンマークでは消費税に関してより、所得税に関する議論の方がはるかに多いのです。所得税は可視性があるが、消費税は見えにくい。経済論で言うと、消費税が上がるとその分だけ為替レートが下がる。例えば日本の消費税を二五%にすると円の交換価値が下がります。為替が下がると、その分だけ国内産のほうが安くなる。海外から来たものが高くなりますから。ドイツでつくっている車と日本でつくっている車と、もし同じコストがかかったとすると、これに二五%の消費税をかけると、日本で売る車がドイツの車よりも高くなるはずが、実際にはなりません。国際的に動いているものは不可視的です。デンマークの消費者は、どれだけ消費税が入っているかを考えないで物を買っている。直接税の場合には背番号制もありますし、これだけ所得があって、これだけの税というのがはっきり見えます。ですから消費税に関する不満は出てきません。
 二つ目の問題ですが、公的セクターには消費税はかかりませんが、民間と公的セクターが競争している分野には消費税がかかります。例えば学校における掃除です。学校そのものは市の持ち物ですから、市が公務員として掃除婦を雇ってもいいし、掃除会社からサービスを買ってもいい。安いほうがいい。民間企業と行政サービスとの対等・平等な競争ですから、自分で公務員として雇ってやる場合にも消費税をつけなければいけません。
五島 その場合、利用者に消費税が課税されないのはわかりますが、各段階では付加価値税がかかっているはずです。インボイスなどによるゼロ%課税を言っておられるのか、あるいは非課税ということなのでしょうか。
アンデルセン ものを売ればその額に対して消費税を払う。しかし、その材料はほかの会社から買ったわけで消費税が含まていますから、税務局は買った額の二五%を返す。実際には付加価値したものの二五%だけを払うわけです。 五島 私の聞きたいのは、パブリック・セクターに対する課税の仕組みです。例えば病院でベッドを買うと、そのベッドに対して消費税を払うのですか。それともパブリック・セクターの病院ならベッドの分の消費税を払わなくていいのですか。
アンデルセン 付加価値にはつけませんが、買ったものに対してはかかります。ベットを売る会社が消費税を国に払い、それを加えて売りますから、それを買い手はそのまま払います。管理上の簡易さのために、公的なところに売るときと民間に売ったときの区別をしないで済むように、一たん全部払うのです。
五島 プライベートな病院で治療を受けると、その消費税は患者さんに転嫁されるのですね。
アンデルセン そうです。物を買ったら必ず払うわけですから。
五島 そうするとプライベート・ホスピタルを利用するよりは、パブリック・ホスピタルを利用したほうが患者さんにとっては有利ですよね。パブリック・セクターで提供されるサービスが、民間と競合しているのはあまりないんですか。
アンデルセン 公共の病院でもシーツの洗濯や、薬局などは民間を使うこともできます。薬局を行政でつくってもいい。マーメイドという大きな民間病院が今年つぶれてしまいましたが、ハムレットという心臓手術をやる病院などが残っています。
 民間病院でもいろいろなものを買って、サービスをつけて治療をするわけですが、消費税は全体の価格に対して払い、買ったものに含まれていた分は返してもらう。公立の病院の場合には、薬なりベッドなり同じものを買ったとしても、それに対しての消費税を払う。なにも売らないから、収入はない。二五%全額払わなければならない。民間は経費になる。サービスを提供したプラス・アルファのところだけの二五%になるのです。
五島 パブリックセクターの部分が大きいということで、税制などにも配慮されていることはよくわかりました。日本の場合、プライベート・セクターとパブリック・セクターが混在していますので、大変参考になりました。
アンデルセン 公的セクターか民間かというときに、公的セクターがいつもいいのだ、あるいは民間のほうがいいのだという議論はなるべく避けたほうがいい。民間のほうがいい領域もたくさんあるし、民間では全然対応できない分野もある。高齢者福祉はそういう分野で、民間で対応することは不可能です。医療の大きな部分もそうです。OECDの資料を見ても、民間でやっているアメリカの医療は非常に高くて、デンマークのほうがむしろ安いのです。

消費税と老人福祉の財源
五島
 日本では、パブリックに介護保険をつくるかどうかの議論が始まっています。一方で民間の介護保険も発足している。介護の問題についてもパブリックの部分とプライベートの部分が混合した場合、非常に複雑な問題を生み出してくるのではないかと心配しています。
アンデルセン 介護保険みたいなものをつくると、すべて問題が起こるごとに保険でつくらなければならなくなります。どうしても保険制度でやるなら、いま存在している医療保険のなかに組み込んで介護をふくらませる方がいいと思います。それならパーセントを変えるだけでいい。
 そうでなければ、消費税の一部を市町村に配ってやった方がいい。保険制度をつくってしまうと、それを維持すること自体が目的になってしまう。
五島 老人保険については拠出制度もあるわけですから、老人保険のなかに含めることが一番現実的だと思います。
伊東敬文 地方自治体に消費税を渡して老人福祉に使ってもらえば、例えば〇・五%で一兆円です。人口六五歳以上一人当たり一〇万円ぐらい配れます。
五島 バブルで税収が一番伸びているときに、消費税が導入されたので、国民に強いアレルギーがあるのです。
伊東 今度税率を上げるなら、市町村にいく〇・五%なら〇・五%が見える形でやる。老人福祉計画もつくったのだから、それを実現する自主財源とする。厚生省ではなく、むしろ自治省との連携で起債も含めてやれば、〇・五%でもかなりの額になります。いま厚生省が要求しているのは三〇〇〇億円ですから、使いきれませんよ。
五島 〇・五%で一兆二〇〇〇億ほどですから。たしかに税が国民に見えるということが大事ですね。老人保険に消費税の〇・五%を注ぎ込むという方法もありますね。ただ「消費税反対!」と言ってきた経過があるので…。
伊東 だから堂々と言えばよいのです。消費税が一番いい。
五島 消費税が産業政策などに使われるのではないかという不安があるのです。
伊東 ある程度のリターンがあれば上げられますよ。一度はそれをやっておかないと、減税で全部を使ってしまったらアウトですよ。
五島 いろいろ参考になるお話をうかがいました。どうもありがとうございました。
(※コペンハーゲン大学社会医学研究所の伊東敬文先生に通訳をお願いし、議論にもご参加いただきました。1994年10月27日)

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