福島党首が無投票4選2009/12/06

福島瑞穂党首
 12月4日。福島党首が党首に4選した。党首選挙に絡んでいろな報道があったが、ほとんどが普天間移設問題への態度をめぐる対立とされているようだ。確かにそういう面はあったが、実際には様々な要素があって、根は深い。一時は福島党首が立候補断念に追い込まれる可能性すらあった。党首選挙への出馬の条件は規則で「所属都道府県連合の推薦と200名以上の党員の推薦」または「所属都道府県連合の推薦と国会議員の3分の1以上の推薦」が資格とされているためだ。200人以上の党員の推薦というのは実務的に短期間で手続をするのが難しいため、現実的には国会議員の3分の1以上の推薦が必要なのだ。
 事務局の立場で言えることはあまりないのだけど、一般論としていうと論点は、①選挙総括と参院選挙への対応、②党のガバナンスへの問題意識、③感情的な問題、④沖縄問題への対応、⑤その他、という感じだと思う。
 今回の選挙は議席数こそ維持したというものの比例区の得票を数で約2割、率で5・35→4・27に1%以上大きく減らした。この責任の多くが党首にあるのではないかという思いが党内に根強いのだ。個人的にはこの責任を党首一人に負わせるのはやや酷かとも思うが、多くの前職議員が討ち死にする一方でその責任を負うべき党首が入閣したことへの批判はとくに国会議員の中で強いように思う。これは、このままで参議院選挙が戦えるのか、という不安とセットだ。まして閣僚であり、かつ自分自身が候補者であれば、党の顔として任務に堪えうるのかという不安は払拭されていない。
 第二に、この間の与党を体験する中で、党のガバナンスに対する危機意識は中央組織の関係者の多くに広がっていた。まずは単純に大臣の日程が役所にとられて党務に時間が割けない。党の会議にはほとんど出席できず、常任幹事会すら途中で退席することが多い。重大な場面で連絡すらつかない、ということもあった。党首は当初から側近議員を作らず、一匹狼的に振る舞ってきたため、誰かに任せるということにもならない。そもそも党側の状況を把握されているのだろうか、党として重大な判断が出来るか、という疑問である。必ずしも本人の責任ではないかも知れないが、来れも故なしとは言えない。
 感情的な問題についての論評はパス。ただ、今ぐらいの人数というのは、実は意外とまとまりづらい難しい規模なのだ。とくにキャラが立っている国会議員の間の人間関係はなかなか難しい。
 こうした背景の上に、訪沖問題や普天間をめぐる対応への不満が火を噴いたというのが実態ではないか。民主党の中でも閣内に入った議員と、党に残っている議員との間には微妙な問題があると言われているし、閣内・閣外の立ち位置の違いにはなかなか難しい問題があるようだ。
 個人的には結局は福島党首が4選されるにしても堂々と党首選をやって、様々な問題を党員や有権者の前で議論した方が良かったのではないかと思っていたので、なんとなく未消化な感じが残っている。まあ、いずれにしてもわれわれが選んだ党首なのだから、福島党首を支え、参議院選での前進を目指して頑張りたい。
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社民・福島党首が無投票4選へ 普天間強硬で党内対立回避
12月3日/産経ニュース
 社民党党首選挙(4日告示)は3日、福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)の無投票4選が固まった。福島氏が、現行計画通りに米軍普天間飛行場の沖縄県名護市への移設が決まれば連立を離脱する可能性をほのめかし、現行計画に反対する党内の強硬派による対立候補擁立の動きが止まったためだ。ただ、これによって社民党は「県外・国外移設」という従来の看板を下ろせなくなった。譲歩すれば党分裂の危機に陥る可能性がある。
「福島さんは大丈夫だろう。展望が見えてきた」
 防衛省首脳は11月半ば、現行計画通りに決着する見通しを示していた。
 実際、福島氏は今月2日まで、記者会見などで「短期で結論を出すのは拙速だ」と述べてはいたが、年内決着を模索する政府にそれ以上の強い態度を示してはいなかった。
 それが一転して、3日の党常任役員会で「社民党の根幹にかかわる」と連立離脱を辞さないことを公言したのは、社民党内の不満を抑えきれなくなったためだ。
 党首選では、「福島氏は生ぬるい」とする議員らが、普天間飛行場を抱える沖縄2区選出の照屋寛徳衆院議員(当選3回)を福島氏の対抗馬として擁立する動きに出ていた。
 執行部に代表代行を新設し、福島氏から実権を奪う案も取りざたされた。これらを封じるため、福島氏は普天間問題で強硬姿勢を示す必要があった。
 照屋氏は3日夕に記者会見し不出馬を表明したが、「政権にそれなりのインパクトを与えた。皆さんが想像し得る範囲をはるかに超えて私たちは官邸や民主党幹部に働きかけた」と胸を張った。さらに「福島氏と会談し、普天間問題に取り組む決意と覚悟を共有できた」と述べ、党首4選にあたっての福島氏の発言が極めて重いことを指摘した。
 来年1月24日には名護市長選がある。社民党が推す県外移設論の候補が優勢とみられており、党内では「市長選まで決着を持ち越せば、こっちのものだ」との声が上がっている。

福島党首4選に壁、「出しゃばりすぎ」の声も
12月1日/読売新聞
 社民党は、党首選の告示を4日に控え、党内の駆け引きが激しさを増している。
 2003年12月から3期6年、党首の福島消費者相は4選出馬の意向だが、党内には「福島氏は何事にも出しゃばりすぎだ」といった不満も一部議員にあり、対抗馬擁立を模索する動きも出ている。
 福島氏と一線を画す又市征治副党首は、11月27日の両院議員懇談会で党首代行の設置を求めた。党内の福島氏の影響力をそぐ狙いがあると見られている。また、福島氏と距離を置く阿部知子政審会長、照屋寛徳衆院議員ら4人が11月30日、国会内に集まるなど「反福島」の動きが活発化している。
 こうした動きを、福島氏に近い議員は「与党入りして党首に注目が集まるようになったから福島氏をやっかんでいるだけだ」と批判。
 福島氏を支える重野幹事長が1日、又市氏ら複数の議員と会い「福島体制」継続への理解を求めるなど党内融和を図ろうとしているが、福島氏自身は党内情勢を見極めるため出馬表明を見送っている状況だ。

福島党首、不安な4期目=「普天間」なお火種
12月6日/時事通信
 社民党の福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)が、4期目の党運営を事実上スタートさせた。来夏の参院選で議席を増やし、退潮傾向に歯止めをかけるのが最大の課題だ。ただ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の展開次第では、党分裂に発展する可能性も消えておらず、福島氏にとっては神経をすり減らす日々が続きそうだ。
 「一番大事なのは参院選だ。連立政権の中で具体的な成果を出し、躍進したい」。福島氏は4日、無投票4選を決めた後の記者会見で、参院選では改選3議席の倍増を目指す考えを強調した。
 だが、普天間問題というハードルがなお立ちはだかる。党首選では、党内から「福島氏の姿勢は生ぬるい」との不満が噴出。福島氏は政府が県内移設を決めた場合は連立離脱も辞さない姿勢を示すことで、ようやく対抗馬擁立の動きを沈静化させた。
 福島氏が口にした「重大な決意」は、政府内で強まっていた年内決着への流れを押し戻し、越年の見通しとなったものの、普天間問題は依然として重くのしかかる。同党にとって、県外・国外移設は「至上命令」で、実現できなければ連立離脱の決断を迫られる。ただ、党内には「党が生き残るには政権にしがみつくしかない」との意見も根強く、実際に離脱に踏み切れば党が割れる可能性も否定できない。
 福島氏には、求心力のなさも不安材料だ。福島氏は「一人で出しゃばりすぎだ」(幹部)との批判を考慮し、今後は可能な限り幹事長に党務を委ねることを決めたが、党内では不満がくすぶっている。
 党首選で福島氏の推薦人となった議員は当初、衆参それぞれ3人ずつの6人だけだった。福島氏への「批判勢力」が顕在化するのを恐れた重野安正幹事長が一部の議員には声を掛けなかったためだ。
 「みんなの力を合わせて、きっちり成果を出していこう」。福島氏は4日の両院議員総会で、こう呼び掛けた。しかし、党内は一枚岩とは言い難く、福島氏の前途は険しそうだ。