棚から本マグロかよ…2009/11/02

中島みゆき
 中島みゆきが紫綬褒章を受章するそうです、2009年秋の褒賞、11月3日に発令とのこと。芸術やスポーツ、学問で功績を残したんだと。みゆきさん、あんたもか!
 本人曰く、「思いがけずうれしいことの表現に『棚からぼたもち』と申しますが、今の私の気持ちは、ぼたもちどころではございません。『棚から本マグロ』。これくらいの驚きでございます。 ふつう、何かをいただけそうな場合には、たちどころに受け取るのは少々はしたないので、まあ2度くらいは辞退して、それでもとおっしゃるならちょうだいするのが、日本人の奥ゆかしいマナーなのでございましょうが、このたびのような褒章となりますと、到底『ふつう』ではないことですので、辞退なんかしたら2度とこんな機会はないかもと思いまして、即座に『いただきます!』と、お返事してしまいました」だと。
 なんだよ~。中卒で仕事をもらえない女の子や、ガキのくせにと頬を打たれた少年たちを「ファイト」って小さく励ましながら闘ってきたんじゃなかったのか? 肩に国を乗せて足どりが遅くなっても背広の下にはロックンロールを隠していたんじゃなかったのか? 怒りもて石を握った指先は陛下から勲章を頂いて喜びに震え、怒りもて罪を穿った唇は「いただきます!」ですか? 社会の片隅で人知れず悔し涙を流している人々にエールを送ってきたんだとばかり思っていたよ。遅くてたどり着けなかったのかもしれないけど、学生運動の片隅にいたんだから。
 僕は、学生の頃、「ローリング」や「世情」や「誰のせいでもない雨が」を歌いながらオルグをしてきたんですよ。かつて中島みゆきファンの熊沢誠先生が、バブル期の労働者を「美貌の都」で振り向いてみたら「泣き笑顔」だった人々に例えたのをきいて、その「泣き笑顔」を笑顔にしようと思って、活動してきたんですよ。うーむ。「棚から本マグロ」で「いただきます」かよ…。まさに、「夢のなれの果てが転」ぶのを見た感じだ。

 65年にビートルズがMBE勲章を受章したときは、他の連中は戦争で人を殺したことで栄誉を受けているが、僕らは音楽で世界中の人を楽しませて勲章をもらう、とか皮肉の一つも言った。しかもジョン・レノンは、しばらくしてからアメリカの戦争支援を理由に勲章を突っ返したはずだ。まあ、結局もらうにしても、多少の逡巡くらいはしてほしかった。棚から本マグロでいただきます、じゃあなぁ~。本当にガッカリだ、「はしたない」よ。
 張富士夫(トヨタ自動車会長)や森山真弓(元官房長官)が授賞しても良かったね、くらいにしか思わないけど。神野直彦までもらってるんだもんなぁ。そんなにうれしいものなのかねぇ。まったく理解できない。