勘弁してよ~ 田母神さん2009/08/26

 田母神俊雄・元航空幕僚長は8月25日、衆院宮崎1区の無所属前職の応援演説で、広島原爆の日の6日に開催された市の平和記念式典の列席者について「被爆者も2世もいない。左翼ばかりだ」などと発言したという。
 田母神氏は演説で6日に広島市で講演したことを紹介。さらに平和記念式典について「慰霊祭は左翼運動。あそこに広島市民も県民もほとんどいない。原爆の被爆者も2世もいない。並んでいるのは全国から集まった左翼。一部政治勢力が日本弱体化を図っている」などと述べたと報道されている。

 勘弁してよ~。田母神さん。
 田母神さんは高校の先輩だというのもあって、僕はそんなに悪く思っていないのですよ。もちろん世代が違うので直接面識は無いんだけど、気のいいおっチャンで、ややオッチョコチョイながら、真面目で面倒見もよいといわれている。たぶん高校の同窓生の中で自衛隊で一番偉くなった人だし。
 アパホテルの懸賞論文なんかに応募するところがそもそも軽率だし、出来レースで受賞して喜ぶあたりも可愛らしい。論文の内容とか、彼の思想や立場はもちろん、大反対なんだけど、あのくらいの右翼ぶりは保守の政治家にはゴロゴロいる。まあ、ケシカランとは思うけど、政界なんてケシカラン奴ばかりなわけだから目くじら立ててもいられないし。
 しかし、平和記念式典の話は、どう考えてもあまりにも無茶苦茶な誤り。そんなアホな話はないでしょう。むしろあれが全部左翼だったら、非常にうれしいけどね。たぶん自分では見てもいないのだろうけど、こういう明々白々なウソを言っちゃうのは自分を貶めちゃいますよ。先輩!
 ちなみに、09年3月末現在の被爆者で広島市内に在住しているのは7万3666人、その他広島県内に3万3116人だ。これは被爆者健康手帳の数だから、厚労省が「被爆者」と認めた被爆者の数で、これだけでざっと10万人以上になる。実際には手帳を持たない被爆者も大勢いるし、2世3世をいれればさらにずっと多くなる。もちろん式典に全員が来るわけはないけど、被爆者・遺族のための2000席が埋まらないわけはない。式典の参加者全体は約5万人だから、もちろん被爆者以外も大勢いるし、その中には左翼的な人もいるかもしれないけど、広島市民も県民も被爆者も2世もほとんどいなくて全部左翼なんて、荒唐無稽もいいとこだ。
 しかもその根拠は「広島の友人がみんなそういっている」からだ、っていうんだからあきれる。別に市の式典を批判してもいいし、広島の平和運動を批判してもいい。平和運動のなかではどちらかと言えば左派勢力が主導権を持っているのも事実でしょう。それを批判したって別にかまわない。でも、批判は事実に基づいてやっていただきたい。根拠薄弱意味不明のことを言って被爆者を冒涜するのは許せない。
 まあ、左翼から批判され、右翼から持ち上げられ、トチ狂ってるのかもしれないが、「軍人」ならもう少しリアリストじゃないとね。「北朝鮮に住んでいるのは普通の人間じゃない。住んでいるのは全員反日のテロリストだ。アメリカの友人がそういっていたから確かだ」っていうのと同じレベルだべ。批判は批判で結構なので、事実に基づいてもう少しまともなことを言ってください。田母神先輩! 安積高校の後輩が泣いてます。

新潟で第21回国連軍縮会議2009/08/26

朱鷺メッセ
 国連軍縮部と国連アジア太平洋平和軍縮センターの主催、新潟県・市、外務省の協力による「第21回国連軍縮会議」が26~28日、新潟市の朱鷺メッセではじまった。21ヵ国・オブザーバー2ヵ国から政府高官や研究者ら約90人が参加し、「新潟から世界へ:核兵器のない世界に向けた新しい決意と行動」をテーマに議論した。核兵器のない世界の実現に向けた具体的な行動、朝鮮半島の非核化、2010年NPT運用検討会議の展望、軍縮・不拡散分野における市民社会やマスメディアの役割といった様々な観点から議論される。
 出席はハナロア・ホッペ・国連軍縮部長兼上級代表次席、須田明夫・軍縮代表部大使、中根猛・ウィーン代表部大使をはじめ、スーザン・バーク・米大統領特別代表(核不拡散担当)や、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」共同議長の川口順子・元外務大臣とギャレス・エバンス・元豪州外務大臣、カナット・サウダバエフ・カザフスタン国務長官など。
 スーザン・バーク米大統領特別代表は講演で、核兵器廃絶は「米国単独では無理だが、主導することはできる」、「米国は核兵器を削減し軍事的な役割を低下させる。他の核保有国にも同様の行動を求める」、「米ロで交渉中のSTART1の後継条約に法的拘束力のある検証機能を取り入れる」などと延べ、実効性のある条約を目指し核廃絶へ向けたリーダーシップを取ると発言した。
 川口順子元外相は「米ロが核兵器削減交渉に入るなど、最近の核軍縮への流れは数年前と対照的。核保有国の積極的な情報開示や国際的な枠組み設立などで、核兵器のない世界を目指すべきだ」と述べた。
 ハナロア・ホッペ国連軍縮部長は「核兵器のない世界をつくるためには核保有国、非保有国それぞれに努力が必要。生産的な議論がなされることを願っている」とあいさつ。  新潟市の篠田昭市長は「新潟市は原爆の投下予定地の一つだった。この市での開催が大きな足がかりとなれば」と述べた。
 基調講演としてカザフスタンのカナト・サウダバエフ国務長官が「核保有国こそ核兵器を削減し、核放棄の模範にならなければならない」と訴えた。

 国連軍縮会議は89年の第1回京都会議以降、毎年日本で開催され、今回で21回目。京都市で6回、広島市で3回、札幌市で3回、長崎市、2回、仙台市、秋田市、金沢市、大阪市、横浜市及びさいたま市で各1回開催されている。

これまでの開催状況

開催地 期間 参加
1 京都(第1回) 1989.4.19-22 31カ国 90名
2 仙台 1990.4.16-19 21カ国 42名
3 京都(第2回) 1991.5.27-30
37カ国 98名
4 広島(第1回) 1992.6.15-18 20カ国 61名
5 京都(第3回) 1993.4.13-16 37カ国 90名
6 広島(第2回) 1994.5.24-27 19カ国 62名
7 長崎(第1回) 1995.6.12-16 36カ国 91名
8 広島(第3回) 1996.7.17-20 22カ国 62名
9 札幌(第1回) 1997.7.22-15 28カ国 73名
10 長崎(第2回) 1998.11.24-27 23カ国 100名
11 京都(第4回) 1999.7.27-30 24カ国 60名
12 秋田 2000.8.22-25 22カ国 64名
13 金沢 2001.8.28-31 16カ国 65名
14 京都(第5回) 2002.8.7-9 13カ国 37名
15 大阪 2003.8.19-22 18カ国 55名
16 札幌(第2回) 2004.7.26-29 20カ国 70名
17 京都(第6回) 2005.8.17-19 20カ国 50名
18 横浜 2006.8.21-23 14カ国 48名
19 札幌(第3回) 2007.8.27-29 18カ国 68名
20 さいたま
2008.8.27-29
16カ国 87名