千鳥ヶ淵に行ってきました2009/08/15

千鳥ヶ淵六角堂前
 8月15日、千鳥ケ淵に行った。
 千鳥ヶ淵というのは千鳥ケ淵戦没者墓苑のこと。靖国神社の南側、皇居の西側の千鳥ヶ淵公園に隣接している。第二次世界大戦の際に海外で亡くなった身元不明の軍人・一般人の遺骨を安置するために1959年に作られた、国(環境省)が維持管理する「無名戦没者の墓」だ。特定の宗教性を帯びず、仏教・神道・キリスト教等の各種団体が行事を行なっている。拝殿にあたるのは六角堂という納骨堂。古代豪族の棺を模した陶棺が置かれ、地下に、主な戦域別に6部屋の地下室が設けられ、鋳鉄製の壺に遺骨が安置されている。35万2297柱(07年5月)の遺骨が安置されている。  社民党は、毎年8月15日に平和フォーラムが主催(以前は社民党も共催)する追悼集会に参加している。ほぼ毎年、党首が出席している。僕もよほどのことがない限り参加している。黙祷して、何人かの「誓いの言葉」の後、献花をするだけの簡単な式なんだけど、うだるような暑さと蝉の声が否応なく「あの夏」を思わせる。不戦の思いをあらたにするなくてはならない場だ。

 靖国神社にはA級戦犯が祭られていてケシカランとかよく言われるわけだけど、僕はそういうこと以前に靖国より千鳥ヶ淵の方がずっと8・15の慰霊の場としてふさわしいと思っている。

 第一に、戦没者にも様々な信仰があるということだ。あの時代には確かに「靖国で会おう」と言って散った命は少なくないだろうが、そうではない者も多かった。おれは自分の寺に帰るとか、クリスチャンなら神の御許にかえるわけでしょう。
 靖国神社はとにかく全部靖国で祀るんだと勝手に決めつけてやっているわけだけど、なんでそんな判断に従わんといかんの。厚生省から戦死者の名簿をもらってきてそれを霊璽簿なる書類に勝手に書き写して祀っとくと、そのうち御神体に魂が移るというんだけど、無茶苦茶怪しい世界だ。イヤだという人の名前を勝手に書いて勝手に祀るつーのはどーシテも理解できないね。
 第二に、歴史や伝統が浅い。薩長土肥の都合で 1869年(明治2年)に東京招魂社として創建され、1879年(明治12年)に靖国神社と改称された靖国神社は、普通の神社とはまったく異なるものだ。薩長土肥の新政府が自分たちの為政に都合がよいようにつくったもので、きわめて政治的な意図の下で形式的に建てられた。神社なんか、家の近所のちっちゃな神社でも創建数百年というそれなりの古い歴史や言い伝えがあるものなんだけど、靖国神社にはそういう古い土着してきた経緯が全くないのである。儀式とかも、なんか勝手に決めてなんとなく重々しそうにかっこつけているだけにしか見えない。厚労省から名簿もらってきて書き写すと、霊になりました、ってどうすりゃそんなふうに思えるんだ?
 第三に、慰霊をする雰囲気が全然ないよ。僕は千鳥ヶ淵に行った後、時間があれば靖国神社にも行っている。今年も昭和館に寄ってから行ったんだけど、騒然としてるのね。靖国通りには街頭右翼の黒い街宣車が大音量でがなっている。周辺のあちこちで右翼的主張の若者がビラ配ったりしながら排外的な主張をがなっている。境内でも軍服着た右翼の人たちがガンつけて歩いている。

 その点、千鳥ヶ淵は無宗教で、どんな人でもわだかまりなく祈ることができる。いろんな宗教団体も参拝に来る。静かだし、聞こえるのはセミの声ばかり。おかげで軍服の人も時折現われるけど深々と敬礼して帰って行く。そしてなにより千鳥ヶ淵には遺骨があるのである。身元のわからなかった35万余中の遺骨が納められている。六角堂と、収まりきらなかった遺骨を収容するためにすぐ裏側に収容施設が増設された納骨堂。ここにある骨の力というのはすごいと思うよ。どんな形式張った儀式よりずっと力がある。
 国家神道信者は靖国に行けばいい、ミーハーな見物者もどうぞ靖国で饅頭でも買ってやってください。あの戦争で亡くした人を偲ぼうとする方は、それぞれゆかりの地でもかまわないし、自分のお寺でも、近所の教会でも結構です。それぞれの方法で故人を偲び、不戦の誓いを新たにすればよいのです。特に思い当たる場所が無い方は、もっとも広範な国民がこだわりなく慰霊ができる場所、もっとも多くの遺骨が眠る場所、として千鳥ケ淵戦没者墓苑はいかがでしょうか。と思うのですが。

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