米ロ首脳が核削減等で合意2009/07/07

 7月6日、就任後初めてロシアを訪れたオバマ米大統領は、クレムリン宮殿でメドベージェフ大統領と会談した。今年12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる条約締結に向け、両国が保有する戦略核の弾頭数を現状の2500前後から、1500~1675に、弾道ミサイルや爆撃機など運搬手段についての上限を500~1100へと削減する共同文書に署名した。12月までの最終合意を目指し、実務者レベルで条約の細部を詰める。
 両首脳の顔合わせは、新条約の年内締結で原則合意した4月のロンドン会談以来で2回目だ。同時にオバマ政権が優先課題に掲げるアフガニスタン戦争で、米国にアフガンへの軍事物資輸送について年間4500回の領空飛行を米国に認めるなどの合意文書にも署名した。

 米国と旧ソ連は91年、戦略核の上限をそれぞれ6000、ミサイルや戦略爆撃機など運搬手段の上限を1600とする第1次戦略兵器削減条約(START1)に調印、01年に達成している。02年には米国とロシアが戦略核の上限を1700~-2200まで削減する戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約/SORT)に調印した。
 1993年に調印されたSTART2は、2003年までに両国の核弾頭数を3,000~3,500発以下に削減することや、大陸間弾道ミサイルのMIRV(多弾頭独立目標再突入ミサイル)化の禁止などを定めていた。批准が難航し期限を2007年に延長したが、結局、発効に至らなかった。START2を最終的に死に至らしめたのはブッシュ政権によるABM条約(弾道ミサイル迎撃ミサイル条約)の破棄である。
 1999年から核弾頭数を2000~2500発に削減するSTART3交渉も始まったが、START2の批准作業が進まなかったこともあり、交渉は進展せず、十分な検証体制を伴わないゆるい条約SORTに置き換えられてしまった。SALT(戦略兵器制限交渉)やSTARTが厳格な検証方法等についての規定を含んでいたのに比べてSORTはこうした合意を含まない非常にラフな条約である。核弾頭数は一応、削減されるものの、運搬手段の制限もなく、削減した核弾頭を保管することも可能であるなど実効性に欠けるなど問題が多い。
 なお、これまで1万発をベースとしていた核兵器削減交渉が1000発代を睨みはじめたSTART3交渉に当たって、NGOなどは他の核兵器国(NPTによる核兵器国:仏、英、中)を含めた交渉とすべきと主張したが、かなわなかった。

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